パシフィックネットは「ストック型」への転換が顕在化し今期30%増益を想定

■大多数の顧客企業の年度末が第4四半期にあたり比重が最大に

パシフィックネット<3021>(東2)は今期・2019年5月期の連結業績見通しを営業利益3.10億円(同30.3%の増加)とするなど、各利益とも大幅増益の見込みとする。売上高は41.00億円(前期比4.5%減)と減益を見込むが、数年前から事業構造の大変革に取り組んでおり、それまでの「フロー収益型」から「ストック収益型」への転換が顕在化してくる形だ。23日の株価は後場寄り後に6%高の1025円(62円高)まで上げている。

■「ストック型」事業の売上高は13%増加、従来事業は戦略的に絞り込む

 さきに発表した第3四半期の連結業績(2018年6月~19年2月・累計)は、営業・経常利益とも前年同期比で30%を超える大幅増益となった。営業利益は39.3%増加して1.82億円、経常利益は34.7%増加して1.79億円。親会社株主に帰属する四半期純利益も12.0%増加して1.02億円となった。

 同社は、数年前から事業構造の大変革に取り組んでおり、それまでの「フロー収益型」に対し、IT機器の新規導入から運用・管理、機種変更にともなうデータ消去などの処理・排出までを、利用者のITシステムのライフサイクル全般をワンストップで支援する「LCMサービス」(ライフサイクルマネジメントサービス)を前面に打ち出す事業に軸足を移し、「ストック収益型」へと変貌してきた。

 LCMサービスの主力ブランドは「Marutto 365」(まるっと365)で、2018年11月に開始。最新のITシステムを、クラウドも含めて廉価な料金で導入できる業界初のサービスとして注目を集めている。

■ストック中心への収益構造改革とESG経営への取り組みが効果を上げる

 この第3四半期の連結売上高は、前年同期比10.0%減の29.66億円だったが、主な事業別にみると、LCM事業セグメントの売上高は同13.0%増加した半面、従来事業であるリマーケティング事業セグメントの売上高は同35.1%減少した。

 同社では、「変革の途上ではあるものの、ストック中心への収益構造改革、およびESG経営(長期的な成長のためには、環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governanceの観点が必要)の強化に取り組んだ結果」が顕在化してきたとし、「中古事業は、ESGの観点からコンプライアンスサービスへ脱皮させ、あえて戦略的減益とした」と振り返った。

 今期・19年5月期の連結業績見通しは、売上高が41.00億円(前期比4.5%減)、しかし、営業利益は3.10億円(同30.3%の増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2.00億円(同26.5%の増加)。予想1株利益は38.65円。

 引き続き「変革の途上」(同社)にて、売上高は昨対比減少するが、収益は大きく拡大する見込みとした。第3四半期までの進ちょく率は低いが、同社の業績傾向は、第4四半期(3~5月)が大多数の顧客企業の年度末にあたり、これまでも第4四半期の業績が最も大きくなる傾向がある。また、連結子会社ケンネット社は第4四半期の収益が最も大きくなる傾向にあるため、計数目標などは当初想定どおり進捗しているとした。

 なお、リマーケティング事業については、戦略的に絞り込みを行っているが、第1~3四半期に比べて第4四半期は一定の拡大を見込んでいる。

 こうした事業の方向性については、「中期経営計画「SHIFT 2021」の一部修正に関するお知らせ(仮題)」としてまとめ、2019年7月に開示する予定だ。(HC) 

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