【編集長の視点】綿半HDは続落も連続の過去最高更新観測をテコに3月期決算発表の先取りが続く

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日8日に84円安の2269円と続落して引けた。この日の日経平均株価が、米中貿易摩擦の再燃懸念で321円安と続急落し、東証第1部全銘柄の84%超が値下がりする市場環境下、5月7日に年初来高値2425円まで買い進まれていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ取引時間中は下ヒゲを伸ばしてものの、大引けでは25日移動平均線を回復しており、25日線での下値の信頼性を示唆した。5月10日に発表予定の3月期決算を先取り、昨年12月に連結子会社化した通販サイトを運営するアベルネット(東京都台東区)の寄与などで2020年3月期業績が連続して過去最高を更新することを期待してディフェンシブ株買いが交錯したためだ。信用取組も、薄めながら株不足で逆日歩がつく好需給となっており、売り方の買い戻しも押し上げ材料となりそうだ。


――――子会社化のアベルネットや新規オープンの可児店などがフル寄与――――

 アベルネットの綿半HDへの業績寄与は、すでに昨年12月からの月次売上高動向に表面化した。同子会社は、インターネット通販業界の老舗で、綿半HD自身の通販事業との相乗効果を高め、月次全店売上高の増加、客単価のアップとして寄与している。全店売上高は、11月の前年同月比7.3%減から12月に同11.2%増へプラス転換し、その後も月を追って16.3%増、16.7%増とプラス幅を拡大し、4月は25.3%増に達し、207年12月に閉店した三鷹店のマイナス分を完全にカバーした。客単価も、昨年12月に同17.3%増とプラス転換し、足元の今年4月は、同22.6%増とプラス幅を伸ばした。

 業績面では、このアベルネットのほか、昨年7月にリニュアルオープンした綿半スーパーセンター富士河口湖店、同11月に新規オープンした綿半スーパーセンター可児店がフル寄与する。5月10日に発表予定の2019年3月期の純利益は、15億3600万円(前期比3.6%増)と連続して過去最高を更新する見込みだが、続く2020年3月期業績も続伸が有力となる。東洋経済会社四季報最新号は、2020年3月期純利益を16億5000万円と観測しており、5月10日の決算発表時の業績ガイダンスが注目される。

――――25日線で下値を確認し信用好需給もオンしてまず昨年12月高値奪回へ――――

 株価は、昨年12月に世界同時株安に巻き込まれて1926円安値へ調整、その後は売られ過ぎとして2200円台までリバウンドし、上昇転換した25日移動平均線にサポートされながら上値にトライし、強弱感の対立から薄めながら株不足となり逆日歩のつく信用好需給となった。10連休前に連休中の逆日歩負担を警戒した売り方の買い戻し先行で年初来高値2400円へ急伸、4カ月にわたり上値を抑えていたフシからの上放れ様相を強めた。連休明け後は全般相場の急落とともに高値調整となっているが、25日線で再び下値を確認したここからは、決算発表を先取りして一段のリバウンドにチャレンジ、次の上値フシとして昨年12月高値2750円が意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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