イワキは調整一巡、19年11月期増収増益予想で上振れ余地

 イワキ<8095>(東1)は、医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、メーカー機能も強化している。19年11月期増収増益・増配予想である。そして上振れ余地がありそうだ。株価は戻り一服の形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社

 医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能も強化している。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカルの企業集団である。

 事業区分は医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造・販売、医薬品の製造・販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造・販売、表面処理設備の製造・販売)、食品事業(食品原料の製造・販売)としている。

 18年11月期の売上構成比は医薬・FC37%、HBC41%、化学品11%、食品7%、その他3%だった。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での開発・受託の拡大、自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。18年3月には日立化成<4217>からプリント配線板用薬品事業譲受契約を締結した。

 中期経営計画(ローリング方式、19年11月期~21年11月期)では目標数値に、21年11月期売上高700億円、営業利益28億円、ROIC8.0%以上を掲げている。さらにグループ中長期ビジョンとして、売上高1000億円、ROIC10.0%以上を掲げている。

 配当方針は従来の固定配当型から、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で、連結配当性向30%目途」に変更している。

■19年11月期増収増益・増配予想で上振れ余地

 19年11月期の連結業績予想は、売上高が18年11月期比4.9%増の630億円、営業利益が8.2%増の20億円、経常利益が横ばいの20億円、そして純利益が9.6%増の15億50百万円としている。増収増益で営業利益は3期連続過去最高更新見込みとしている。配当予想は50銭増配の年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)としている。3期連続増配で予想配当性向は23.0%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比8.9%増の147億55百万円、営業利益が6.3倍の5億06百万円、経常利益が5.8倍の5億44百万円、純利益が7.6倍の3億49百万円だった。

 医薬・FC事業が12.9%増収、2.9倍増益と牽引した。医薬品原料、医薬品とも好調に推移し、18年4月薬価改定影響を吸収した。HBC事業は3.0%増収で営業黒字化した。化粧品通販は前年並みにとどまったが、機能性食品原料、化粧品原料が堅調だった。化学品事業は23.5%増収で営業黒字化した。表面処理薬品が好調に推移し、表面処理設備の受注採算が大幅に改善した。食品事業は9.2%増収だが、営業赤字が残った。

 通期も医薬・FC事業や化学品事業が牽引し、医薬・FC事業における新試験室建設や全社的な人事制度変更による費用増加を吸収する見込みだ。第1四半期の進捗率は売上高23.4%、営業利益25.3%と順調である。下期偏重の計画であることを考慮すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。

■株価は調整一巡

 株価は戻り一服の形だが、調整一巡して出直りを期待したい。5月20日の終値は445円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円80銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS591円72銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約154億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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