【決算記事情報】科研製薬は20年3月期減収減益予想

 科研製薬<4521>(東1)は整形外科・皮膚科・外科領域を主力とする医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定や研究開発費増加などで減収減益だった。20年3月期は医薬品輸出や特許料収入の減少、研究開発費の増加などで減収減益予想としている。

■整形外科・皮膚科・外科領域を主力とする医薬品メーカー

整形外科・皮膚科・外科領域を主力とする医薬品メーカーで、農業薬品や飼料添加物、不動産賃貸(文京グリーンコート関連賃貸)なども展開している。

医療用医薬品・医療機器は、生化学工業<4548>からの仕入品である関節機能改善剤アルツ、14年9月国内販売開始した日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィンを主力として、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、創傷治癒促進剤のフィブラストスプレー、高脂血症治療剤のリピディル、ジェネリック医薬品も展開している。

歯周組織再生剤リグロス歯科用液キットは18年3月期から国内販売を本格化した。18年8月には生化学工業が製造販売承認取得した腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアの販売を開始した。

■開発パイプライン充実やクレナフィン海外導出を推進

成長基盤の確立を重要課題と位置付け、開発パイプラインの充実、外用爪白癬治療剤クレナフィンの価値最大化を推進している。

原発性局所多汗症を適応症とするBBI-4000(外用抗コリン剤、15年3月米ブリッケル・バイオテック社から日本とアジア主要国におけるライセンス導入)は第3相段階である。熱傷焼痂除去剤KMW-1(海外商品名NexoBrid、16年4月イスラエルのメディウンド社から日本におけるライセンス導入)は第3相段階である。ポスト・クレナフィンの位置付けで爪白癬症を適応症とする自社創薬のKP-607は第1相段階である。

アタマジラミ症を適応症とするKAR(米国で販売中のイベルメクチン0.5%外用剤、19年2月米アーバー社から日本におけるライセンス導入)は治験準備中である。レナバサム(19年1月米国コーバス社から日本におけるライセンス導入)は、コーバス社が全身性強皮症を対象として国際共同第3相試験を実施中、皮膚筋炎を対象として国際共同第3相試験を計画中(米国では開始)である。尋常性乾癬を適応症とする自社創薬のKP-470は導出先のボシュヘルスがカナダで治験実施中である。

クレナフィンの海外導出では、カナダのボシュヘルス社が米国・カナダにおいて14年から販売(商品名Jublia)している。海外自社テリトリーは17年6月韓国で導出先の東亞STが販売開始、18年6月台湾で導出先の台田薬品(田辺三菱製薬の子会社)が承認取得し、販売を開始している。18年10月には香港・マカオで香港メインライフ社社と独占的供給契約を締結し、同社が20年発売を目指している。19年2月には中国AIM社と、中国における独占的ライセンス実施許諾および供給契約を締結した。

■20年3月期減収減益予想

19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比4.3%減の941億65百万円で、営業利益が10.6%減の245億92百万円、経常利益が10.3%減の249億72百万円、純利益が6.7%減の177億75百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間150円(第2四半期末75円、期末75円)とした。配当性向は33.6%である。

売上面ではクレナフィンが1.8%増と堅調だったが、薬価改定や競合品などの影響でアルツが14.2%減、セプラフィルムが3.3%減、フィブラストスプレーが13.5%減、リピディルが43.0%減、ジェネリック医薬品が12.8%減と低調だった。利益面では売上原価率が前年並みだったが、減収に加えて、研究開発費が増加(25.9%増の102億61百万円)して減益だった。なお研究開発費が計画(117億円)を下回ったため、減益幅は計画に比べて縮小して着地した。

20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比1.3%減の929億円、営業利益が9.3%減の223億円、経常利益が9.1%減の227億円、純利益が9.4%減の161億円としている。

医薬品輸出や特許料収入の減少、研究開発費の増加(3.3%増の106億円)や減価償却費の増加(11.5%増の24億円)などで減収減益予想としている。主要医薬品の売上計画はアルツが0.3%増、クレナフィンが2.7%増、セプラフィルムが0.8%増、フィブラストスプレーが2.4%増、リピディルが20.8%減、ジェネリック医薬品が1.2%増としている。

なお配当予想は、18年3月期と同額の年間150円(第2四半期末75円、期末75円)としている。予想配当性向は37.0%となる。また自社株取得(上限80万株・45億円、取得期間19年5月10日~19年12月27日)を実施するとともに、自己株式250万株を消却(19年5月31日予定)する。

中期経営計画では目標数値に21年度売上高945億円、営業利益250億円、ROE12%以上を掲げている。免疫系、神経系、感染症の3領域を柱として自社創薬基盤を拡充・融合し、開発パイプライン充実を推進する方針だ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る