【アナリスト水田雅展の銘柄診断】アルファは第2四半期累計は営業減益だが進捗率は高水準、収益改善期待で高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 POP広告など総合販売促進のアルファ<4760>(JQS)は13日、15年8月期第2四半期累計(9月~2月)業績を発表した。3日に営業利益を減額修正したが、株価のネガティブ反応は限定的で水準切り上げの動きを強めている。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は高水準であり、収益改善期待で3月の戻り高値270円、そして14年10月高値312円を目指す展開だろう。

 POP広告やイベント関連商品など店舗販促用品の企画・製作を展開する総合販売促進企業である。メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注や、デジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。新商品では香りのプロモーションツール「かおるくん」が好調だ。

 中期的な収益力向上に向けて、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。

 4月13日に発表した今期(15年8月期)第2四半期累計(9月~2月)の業績(非連結)(4月3日に売上高、営業利益、経常利益を減額、純利益を増額修正)は、売上高が前年同期比6.9%減の34億13百万円、営業利益が同5.9%減の1億95百万円、経常利益が同6.5%減の1億96百万円、純利益が同12.6%増の1億21百万円だった。純利益は法人税等の減少が寄与して増益だった。

 自社企画製品のeコマース(オンラインショップ)における売上や、イベント関連商品の売上は堅調だったが、中小スーパーなどの販促費削減傾向が継続し、別注製品における前年の大口スポット受注の一巡、装飾物や演出物の受注減少などが影響して減収、営業減益、経常減益だった。製品別売上は自社企画製品が同0.0%減収、別注製品が同3.2%減収、商品が同16.8%減収だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円で、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円である。クリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。

 通期の業績(非連結)見通しは、前回予想(10月14日公表)を据え置いて売上高が前期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、純利益が同0.6%増の70百万円、配当予想が前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 自社企画製品ではeコマースを利用した受注増加、別注製品では企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品ではイベント関連の受注増加を見込み、採算性を重視した選別受注による粗利益率改善や、販管費圧縮なども寄与して増収増益見通しだ。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.8%、営業利益が114.7%、経常利益が118.8%、純利益が172.9%と高水準である。第2四半期累計は減収・営業減益だったが、通期ベースでは好業績が期待される。15年春闘で高額ベア回答が相次ぎ、賃金上昇で消費マインド改善が期待されていることも追い風だろう。

 株価の動きを見ると、動意づいた3月2日の戻り高値270円から反落したが、動意前の180円水準まで下押すことなく、水準切り上げの動きを強めている。4月3日発表の第2四半期累計営業利益減額修正に対するネガティブ反応は限定的で、10日には239円まで上伸する場面があった。

 4月13日の終値225円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は25~26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.2%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS285円53銭で算出)は0.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調に転換した形だ。低PBRも評価材料であり、収益改善期待で3月の戻り高値270円、さらに14年10月の高値312円を目指す展開だろう。

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