フェローテックホールディングスは調整一巡、20年3月期最終大幅増益予想

 フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。20年3月期は営業利益横ばいだが、特別損失一巡して最終大幅増益予想である。株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■半導体等装置関連事業が主力、太陽電池関連事業は撤退方針

 半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコーンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア約6割である。19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。

 太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針としている。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応であり、基本的には19年中を目途に事業撤退方針である。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。

■20年3月期最終大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.8%増の920億円、営業利益が0.2%増の88億円、経常利益が0.5%増の81億円、そして純利益が65.2%増の47億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)で、予想配当性向は18.9%となる。

 売上面では半導体業界が年後半から投資再開と想定し、半導体等装置関連事業(計画8.7%増収)と電子デバイス事業(同15.5%増収)の伸長で、太陽電池関連事業(同39.4%減収)撤退影響を吸収する。営業利益は、半導体製造装置関連の8インチ量産による償却負担と太陽電池関連撤退効果の相殺で横ばい見込みである。純利益は19年3月期計上の特別損失(太陽電池関連事業撤退に伴う減損損失21億01百万円、韓国子会社のCVD―Sic事業撤退に伴うCVD炉減損損失3億05百万円など)が一巡して大幅増益予想である。

■22年3月期営業利益125億円目標

 新中期経営計画では業績目標値に、22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円などを掲げている。半導体市場が不透明のためレンジ目標とした。

 戦略製品の4事業への注力を推進する。22年3月期の売上高目標は半導体マテリアルが391億円(19年3月期実績286億円)、ウェーハが282億円(同72億円)、パワー半導体が70億円(同20億円)、洗浄が85億円(同35億円)としている。太陽光電池事業は消耗品販売のみにシフトして事業ポートフォリオ改善を推進する。

 設備投資は中長期ニーズを見据えて、中国におけるウェーハ量産(22年3月期目標は大・中・小口径合計で月産約88万枚体制)を推進する。設備投資額は3期間合計で約710億円を予定し、中国における中・大口径ウェーハ投資が集中する20年3月期(480億円)がピークとなる見込みだ。株主還元は業績向上に伴って増配を検討する。

■株価は調整一巡

 株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。6月19日の終値は819円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS126円98銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1337円33銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約304億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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