Jトラストは戻り歩調、19年12月期(決算期変更)営業黒字予想

 Jトラスト<8508>(東2)は、日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで金融事業を展開し、銀行業を中心とする持続的な利益拡大を目指している。19年12月期(決算期変更で9ヶ月決算)は営業黒字予想としている。収益改善を期待したい。株価は底打ちして戻り歩調だ。出直り本格化を期待したい。

■日本、韓国・モンゴル、インドネシア中心に金融事業を展開

 日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで、金融事業(銀行、信用保証、債権回収、クレジット・信販、その他の金融)を展開している。銀行業を中心に持続的な利益拡大へのステージアップを目指し、M&Aや債権承継などを積極活用して事業基盤を強化している。

 19年3月期のセグメント別営業収益構成比は、日本金融事業が14%、韓国・モンゴル金融事業が53%、東南アジア金融事業が17%、総合エンターテインメント事業が2%、不動産事業が9%、投資事業が1%、その他事業が4%だった。

 日本金融事業は日本保証、Jトラストカード、パルティール債権回収など、韓国およびモンゴル金融事業はJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタル、TA資産管理、モンゴルのファイナンス事業会社CCIなど、東南アジアは金融事業をJトラスト銀行インドネシア、投資事業をJトラストアジアが展開している。

 18年5月Jトラストアジアがカンボジアの商業銀行ANZR株式譲渡契約(19年5月までに取得予定だったが19年7月9月予定に変更)締結、18年10月Jトラストアジアがインドネシアの中古車ローン会社JTOを子会社化、Jトラストアジアがインドネシアのファイナンス会社OMFを子会社化(商号変更して略称JTO)した。19年4月にはSAMURAI&PARTNERS<4764>が発行する新株予約権を引き受けて業務提携した。

 なおJトラストアジアは、東南アジアにおけるリテール分野への進出を企図して販売金融事業のタイGL社に出資するとともに、タイGL社と共同でインドネシアに割賦販売金融事業のGLFI社(出資比率20%)を設立したが、17年10月タイGL社CEOである此下益司氏がタイSECから偽計および不正行為で刑事告発されたため、現在はタイGL社、此下益司氏およびGLの関連取締役に対して、刑事告発手続き、会社更生法申し立て・補償請求・賠償請求などの訴訟を提起している。

 総合エンターテインメント事業と不動産事業は子会社のKeyHolder<4712>が展開している。KeyHolderは18年3月、子会社アドアーズの全株式を譲渡してアミューズメント施設運営から撤退し、ライブ・エンターテインメント事業で新たな収益柱の構築を目指している。

■収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで変動

 収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。

■19年12月期(決算期変更で9ヶ月決算)営業黒字予想

 19年12月期連結業績(IFRS、決算期変更で9ヶ月決算)予想は、営業収益が643億97百万円、営業利益が61百万円の黒字(19年3月期は326億円の赤字)、親会社所有者帰属当期利益が11億18百万円の赤字(同361億07百万円の赤字)としている。投資事業における通常発生する損益以外の影響額は織り込んでいない。配当予想は6円減配の年間1円(期末一括)としている。なお株主優待制度は19年6月末対象から休止する。

 日本および韓国・モンゴルの金融事業はアセットの積み上げや良質化などで順調に推移し、東南アジア金融事業は18年10月子会社化したJTOとのジョイントファイナンスを中心とした業容拡大を目指すとしている。19年3月期に不良債権処理完了し、19年12月期からの収益改善を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は4月安値344円で底打ちして戻り歩調だ。6月13日には547円まで上伸した。出直り本格化を期待したい。6月20日の終値は515円、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は約0.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS983円96銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約595億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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