【どう見るこの相場】G20大阪サミットを前に日計りで楽観と悲観が交錯も個別では金先物・原油先物価格関連株に「リスクオン」要素

どう見るこの相場

 まるで将棋の終盤戦のようである。先手と後手が一手指すたびに形勢が変わり、楽観と悲観が交錯する。一方的に勝負手を放つのが、経済制裁連発の米国のトランプ大統領で、しのぎ切ろうとみえるのが中国の習近平国家主席とイランのロウハニ大統領である。この終盤戦も、6月28日、29日に開催される20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を前に秒読みに入って緊迫し、この結果次第で世界経済がより減速を強めるのか、地政学リスクの高まりで5月以来の高値となった原油先物(WTI)価格が、さらに高騰するのか、日計りで「リスクオン」と「リスクオフ」がクロスしそうだ。

 中央銀行同士の対局でも、強手を指したのがFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長で、6月19日のFOMC(公開市場委員会)後の記者会見で早期の利下げ検討を示唆した。対して日本銀行の黒田東彦日銀総裁も、負けずに6月20日の金融政策会合後の記者会見で、物価安定が損なわれれば「ちゅうちょなく追加緩和を検討する」とアピールした。しかし形勢は米国側に傾き、為替は、日米金利差の縮小や「有事の円買い」で前週末に1ドル=107.04円と今年1月以来の円高・ドル安となって円には逆風、株価も、ダウ工業株平均株価(NYダウ)が一時、2018年10月の史上最高値を上回ったが、日経平均株価は、前週末21日に204円安と反落した。

 週明け後の相場展開は、G20大阪サミットやペルシャ湾の軍事緊張を前に先手と後手の指す一手、一手ごとに「リスクオン」か「リスクオフ」か判断しなければならず、買える銘柄があるのかないのか一段と難解になる。もちろん「休むも相場」として外野席で結果待ちを決め込むのも賢い対処法である。しかし「ピンチはチャンス」という逆転の発想もある。そこで今週の当コラムでは、消去法的に投資チャンスを示唆してくれそうな銘柄を取り上げてみることとしたい。

 この消去法的な銘柄選択で浮上するのが、トータルで「リスクオフ」でも、個別では逆に「リスクオン」が期待できる金価格関連株と原油価格関連株である。「有事の金買い」として、実物資産の裏付けにある金先物価格が、前週末のニューヨーク商品取引所で2013年3月以来、5年9カ月ぶりの高値まで買われ、フシ目の1トロイオンス=1400ドル台乗せとなっており、シカゴ商品取引所の原油先物(WTI)価格も、1バーレル=57ドル台と今年5月以来の高値となっているからだ。米国の長期金利低下でも、地政学リスクの高まりでも、なお金価格や原油先物価格の上昇を牽引することが有力となり、この動向を横目に睨んでトライしてみる価値はありそうだ。

■本命の住友鉱に対抗して都市鉱山の産金株の貴金属リサイクル株も急浮上

 金先物価格上昇の本命株は、もちろん世界有数の高品位金鉱山の菱刈鉱山を保有する金鉱株の住友金属鉱山<5713>(東1)である。しかし同社に負けず劣らずの株価感応度が高い関連株は、都市鉱山の産金会社といわれ貴金属リサイクル会社である。大手ではDOWAホールディングス<5714>(東1)アサヒホールディングス<5857>(東1)松田産業<7456>(東1)が上げられ、小型・新興市場株では中外鉱業<1491>(東2)、アサカ理研<5724>(JQS)イボキン<5699>(JQS)などが浮上する。このうちDOWAと松田産は、PBRが1倍台を割れ、PER評価もアサヒHDともども市場平均を下回って割り負けており、今年5月~6月につけた年初来安値からの底上げが期待される。

 このほか純金積立サービスを展開している三菱マテリアル<5711>(東1)住友商事<8053>(東1)三菱商事<8058>(東1)、商品先物会社の岡藤ホールディングス<8705>(JQS)豊商事<8747>(JQS)、貴金属買取会社のコメ兵<2780>(東2)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)SOU<9270>(東マ)なども、関連株の一角に浮上する。

■「日の丸原油」の産油株から掘削リグ、プラント建設株まで幅広く好波及も

 WTI価格上昇で業績、株価とも上ぶれるのは、「日の丸原油」を開発・生産する国産メジャーの産油株である。国際石油開発帝石<1605>(東1)石油資源開発<1662>(東1)K&Oエナジーグループ<1663>(東1)のほか、精製・販売の下流部門も展開している出光興産<5019>(東1)JXTGホールディングス<5020>(東1)コスモエネルギーホールディングス<5021>(東1)などが該当する。このうち国際帝石の今2019年12月期の想定原油価格は、ブレント原油で1バーレル=65ドルと前2019年3月期の実績価格1バーレル=70.86ドルを下回ると慎重に見通しているが、ブレント原油は、今年6月の1バーレル=60ドル台割れから足元は65ドルまで戻してきており今後の動向次第では、業績と株価の上ぶれをサポートすることになる。この産油株は、PERが市場平均を下回って割安だが、それ以上にPBRが揃って1倍割れと割り負けが目立っており、この5月、6月につけた年初来安値からの底上げに弾みをつけよう。

 WTI価格の上昇が一過性に終わることがなければ、海域での原油開発をサポートする掘削リグ関連の三井海洋開発<6269>(東1)、原油・LNGプラント建設の日揮<1963>(東1)東洋エンジニアリング<6330>(東1)千代田化工建設<6366>(東1)、掘削リグ用のボーリング機器の鉱研工業<6297>(JQS)まで人気波及が想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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