【忠田公夫の経済&マーケット展望】アベノミクス第2章スタートと相場の行方

忠田公夫の経済&マーケット展望

■10~11月までは相場強い、12月以降は楽観できない

忠田公夫の経済&マーケット展望 アベノミクスの第2章がスタートした。幹事長に谷垣氏。党総裁経験者が幹事長に就任するのは異例の人事と言える。これはわが国の財政健全化に向けた並み並みならぬ決意の表れと見られる。

安倍首相は12月に消費税再引き上げ(来年10月1日実施予定)の有無を決断する。判断材料がこの7~9月のGDPの中身だ。GDPの6割を占める個人消費は、4月以降、駆け込み需要の反動で明らかに下振れしている。4月~6月の消費が下振れしたのは想定通りだとしても、7月の個人消費支出(1世帯あたり)が実質で前年比マイナス5.9%と、6月の同マイナス3.0%よりさらに悪化した点は気がかりだ。8月は異常気象による豪雨被害の拡大もあり、恐らく消費に期待はかけられない。

政府は10月に予定していた増税後の景気点検を、今月16日に前倒しして開催することを急きょ決定した。年末にかけ補正予算を含め、今後の政策対応に生かすためだ。

今月4日の黒田日銀総裁の記者会見で「再増税を先送りすると、政府の財政健全化の意思、努力が市場から疑念を持たれることになり、対応が非常に難しくなる」との趣旨の発言があった。確かに、日銀が国債を買い入れて財政赤字を穴埋めする「マネタイゼーション」に陥ったと、市場に受け止められるリスクが高まり、金利急騰により財政がさらに悪化する負のスパイラルが始まる懸念は増大しかねない。

筆者は1960年代から日本経済をマーケットの視点から半世近くウォッチしてきたが、年内、この4カ月余りの政策対応が、わが国経済の行く末を決める非常に重要な局面に位置している、と見る。米国や欧州、あるいは地政学リスクなど海外要因を考慮すると、10~11月にかけてリスク選好の流れにあると考えている。だが、11~12月以降はあながち楽観が許されない展開もあり得る、と予測している。(証券アナリスト)

 

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