【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エイジアは調整の最終局面、16年3月期増収増益期待で反発のタイミング

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 メール配信ソフト大手エイジア<2352>(東マ)の株価は上値を切り下げて調整局面だが、第3四半期累計の低進捗率が嫌気された2月安値951円まで下押すことなく、1000円近辺で調整の最終局面のようだ。16年3月期増収増益期待で反発のタイミングだろう。なお5月11日に15年3月期の決算発表を予定している。

 自社開発e-CRMシステム「WEBCAS」シリーズなどのアプリケーション事業を主力として、システム受託開発やマーケティングコンサルティングなどのサービスソリューション事業も展開している。自社開発メール配信ソフト「WEBCAS e-mail」の導入実績は総合通販大手など約1600社以上に達し、国内メール配信パッケージ市場でのシェアは1位である。

 中期成長戦略として「メールアプリケーションソフトのエイジア」から、販売促進・マーケティング支援分野に事業領域を拡大して「eコマースの売上UPソリューションを世界に提供するエイジア」への発展を目指し、クラウドサービス(ASP、SaaS)の強化、新製品・サービス開発の推進、サービスソリューション事業の拡大に取り組んでいる。

 M&A・アライアンス戦略では、12年4月ECサイト構築・運営事業拡大に向けてシステムインテグレータ<3826>と資本・業務提携、12年12月メールマーケティングコンサルティング事業拡大に向けてメールマガジン制作・運用支援のグリーゼと資本・業務提携、13年10月メールマガジン戦略立案・企画・制作・分析サービスのFUCAを連結子会社化、14年1月Webサイトソーシャル化支援サービスのフィードフォース社と業務提携した。

 14年6月には、データベース作成システム「WEBCAS DB creator」を発売し、ジェイモードエンタープライズと共同開発した電子レシートメール送信サービス「レシートメール」も発売した。

 なお15年1月にはトヨタ自動車<7203>のメール配信システム導入事例、15年3月には三井物産<8031>の社会貢献活動「サス学」アカデミーメルマガ配信システム導入事例を公開している。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(5月14日公表)は売上高が11億20百万円~11億80百万円(前期比11.2%増~17.2%増)、営業利益が2億45百万円~2億80百万円(同1.1%増~15.6%増)、経常利益が2億45百万円~2億80百万円(同2.5%増~17.2%増)、純利益が1億45百万円~1億65百万円(同11.0%増~26.3%増)、配当予想が同1円増配の年間15円(期末一括)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は、FUCAの連結も寄与して前年同期比4.3%増収だったが、アプリケーション事業の売上総利益率低下や販管費の増加で同25.6%営業減益、同24.8%経常減益、同22.8%最終減益だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)2億22百万円、第2四半期(7月~9月)2億65百万円、第3四半期(10月~12月)2億67百万円で、営業利益は第1四半期14百万円、第2四半期51百万円、第3四半期54百万円だった。

 通期見通し(レンジ下限値)に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が67.3%、営業利益が48.6%、経常利益が49.0%、そして純利益が50.3%と低水準だったが、大型案件の引き合いは増加基調のようだ。

 今期(16年3月期)は、アプリケーション事業では利益率の高いクラウドサービスの拡大、サービスソリューション事業では「WEBCAS+メルマガ企画・制作」の拡大などが期待される。開発の効率化や生産性の向上も寄与して増収増益が期待される。

 なお15年2月に株主優待制度の新設を発表している。毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。15年3月期末から実施する。

 株価の動きを見ると上値を切り下げて調整局面だ。ただし第3四半期累計の低進捗率が嫌気された2月安値951円まで下押すことなく、1000円近辺で調整の最終局面のようだ。

 4月15日の終値1008円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の下限値の連結EPS75円07銭で算出)は13~14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.5%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS437円29銭で算出)は2.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線が戻りを押さえる形となり、13週移動平均線と26週移動平均線を割り込んだ。ただし1000円割れ水準の下値支持線に接近して調整の最終局面と考えられる。16年3月期の増収増益期待で反発のタイミングだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る