日本エム・ディ・エムは上値試す、20年3月期営業増益・連続増配予想

 日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は整形外科分野の医療機器専門商社である。米国子会社製品の拡販を推進し、自社製品比率上昇で収益力が向上している。20年3月期営業増益・連続増配予想である。第1四半期は大幅増収増益と順調だった。通期も収益拡大を期待したい。株価は急伸して03年以来の高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■整形外科分野の医療機器専門商社、自社製品比率上昇して収益力向上

 人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器専門商社である。メーカー機能強化による高収益体質への転換を目指し、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品の拡販を推進している。

 19年3月期売上構成比は、日本国内販売が60.7%(人工関節25.8%、骨接合材料21.5%、脊椎固定器具11.3%、人工骨1.3%、その他0.8%)で、米国販売が39.3%(人工関節39.0%、脊椎固定器具0.2%)だった。また自社製品比率は16年3月期85.1%、17年3月期87.5%、18年3月期88.6%、19年3月期85.9%と高水準で推移し、収益力が向上している。

 17年6月には米ODEV社が、中国のChina Pioneer Pharma Holdings(CPP社)と、中国における独占販売提携契約を締結した。18年10月には米ODEV社が、米国Johnson & JohnsonグループのDePuy Synthes社と、米ODEV社製「KASM」の米国市場における販売提携契約を締結した。19年5月には米国子会社ODEVがオーストラリアに子会社を設立した。

 収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い特性があるとしている。

■20年3月期営業増益・連続増配予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比8.8%増の182億円、営業利益が10.1%増の24億60百万円、経常利益が7.8%増の23億80百万円、純利益が13.3%減の17億20百万円としている。純利益は税負担正常化して減益だが、米ODEV社製品の拡販が牽引して増収・営業増益予想である。配当予想は1円増配の年間10円(期末一括)としている。連続増配予想で予想配当性向は15.3%となる。

 売上高計画は日本国内が4.3%増の106億円(人工関節が1.5%増の43億90百万円、骨接合材料が5.3%増の37億90百万円、脊椎固定器具が8.7%増の20億60百万円、人工骨が6.7%増の2億30百万円、その他が1.2%増の1億30百万円)で、米国が15.7%増の76億円(為替前提1米ドル=110円、米ドルベースでは16.5%増収)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比16.0%増の43億64百万円、営業利益が41.1%増の6億46百万円、経常利益が43.1%増の6億30百万円、純利益が41.7%増の4億48百万円だった。

 日本国内が13.0%増収(人工関節が3.6%増収、骨接合材料が16.7%増収、脊椎固定器具が28.8%増収)、そして米国が20.6%増収(米ドルベースでは19.2%増収)と。いずれも好調に推移した。

 第1四半期の進捗率は売上高24.0%、営業利益26.3%である。下期の構成比が高い特性を考慮すれば順調だ。通期も収益拡大を期待したい。

■高齢化社会を背景に収益拡大基調

 新中期経営計画「MODE2000」では、目標数値(為替1米ドル=106円想定)に21年3月期売上高187億円、営業利益28億円、経常利益26億円、純利益19憶円、ROE12.3%を掲げている。

 重点施策として、米ODEV社との日米共同開発や日本特殊陶業<5334>との連携による高付加価値自社製品の開発強化、海外ビジネス(北米市場での拡販、中国市場での販売基盤確立、新規市場としてオーストラリアでの販売開始検討)の拡大、日本市場における注力販売製品分野(大腿骨頸部転子部骨折治療分野、脊椎固定器具分野、人口股関節分野)のシェア拡大、業務効率化とSCM強化を推進する。

 高齢化社会到来を背景に市場は拡大基調である。中期的にも自社製品拡販が牽引して収益拡大基調が期待される。

■株価は上値試す

 株価は急伸して03年以来の高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。8月1日の終値は1574円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS65円15銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS575円30銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約417億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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