マーチャント・バンカーズは出直り期待、20年3月期大幅増益予想

 マーチャント・バンカーズ<3121>(東2)はマーチャント・バンキング事業とオペレーション事業を展開し、中期成長に向けてブロックチェーン技術を活用した事業を強化している。20年3月期大幅営業増益予想である。第1四半期の進捗率は低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は上値の重い展開だが、一方では下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。

■マーチャント・バンキング事業とオペレーション事業を展開

 マーチャント・バンキング事業(国内外の企業および不動産向けの投資事業)と、オペレーション事業(宿泊施設・ボウリング場・インターネットカフェ店舗・服飾雑貨店の運営、病院食業務受託)を展開している。

■マーチャント・バンキング事業は企業・不動産向け投資

 マーチャント・バンキング事業は、国内外の企業および不動産向け投資を展開している。企業投資は再生医療・AI・ブロックチェーンの3分野を重点的投資分野として、投資先とともに企業価値を創造していく「ハンズオン型」の投資を行う。不動産投資は賃貸用不動産取得による収益基盤強化を進めるとともに、今後は不動産特定共同事業法にかかる許可を取得し、多様な資金調達手段の確保に取り組む方針だ。

 19年2月見守り型介護ロボット開発のIVホールディングスと業務提携、19年4月追加出資した。販売手数料および配当の形で収益を得る。また19年6月IVホールディングスと販売合弁会社を設立し、販売合弁会社が静脈認証システム開発のSYNCHROと業務提携した。

 19年5月にはブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークスに資本参加するとともに、システム販売の合弁会社を設立した。アーリーワークスのIPOによるキャピタルゲイン獲得を目指す。

■ブロックチェーン技術を活用した事業を強化

 中期成長に向けてブロックチェーン技術を活用した事業を強化するため、子会社MBKブロックチェーン中心に仮想通貨関連を展開している。19年1月仮想通貨「Z502」のイノベーション合同会社と資本業務提携した。MBKブロックチェーンがプロモーション活動全般の企画を行い、業務受託料を得る。

 また大株主のアートポートインベストと共同で新会社を設立し、ユーロ圏での営業ライセンスを保有する仮想通貨交換所CRYPTOFEXの運営会社CR社(エストニア)を、新会社が19年5月買収した。ユーロ圏20ヶ国以上を対象に19年8月事業開始予定である。19年7月にはCRYPTOFEXのブランド名を、ANGOO FinTechに変更した。

 ANGOO FinTechではアーリーワークスのブロックチェーンプラットフォームを採用する。また19年8月には子会社MBKブロックチェーンが、CR社と独占的業務委託契約を締結した。ANGOO FinTechの審査やプロモーションを行う。今後は子会社MBKブロックチェーンにおける業務請負収入や配当収入を収益とする。

■オペレーション事業の活性化・拡大を推進

 オペレーション事業は、岐阜県土岐市のボウリング場運営、兵庫県加古川市のホテル運営、愛媛大学医学部付属病院の病院食業務受託、東京都内2店舗のインターネットカフェ運営、子会社ケンテンの服飾雑貨店運営を展開している。

 今後の戦略としては、大株主アートポートインベストの関連会社アートポートアジア(香港)が著作権を持つ映像コンテンツや、子会社MBKブロックチェーン中心に取り組んでいるブロックチェーン技術を活用して、オペレーション事業の活性化・拡大を推進する。

 19年6月には中国の大手医療機関・大承医療投資と、大承医療投資が経営する病院での病院食業務受託に関する業務提携を基本合意した。19年7月にはネットカフェ運営のランシステム<3326>と、映像作品プロモーションタイアップに関して基本合意した。

■20年3月期大幅営業増益予想

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比8.5%増の21億円、営業利益が2.4倍の2億50百万円、経常利益が1億20百万円、純利益が71.7%減の80百万円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比1.9%減の4億59百万円だが、販管費の抑制で営業利益が33.7%増の30百万円、経常利益が14.8%増の3百万円、投資有価証券売却益の剥落で純利益が93.4%減の2百万円だった。マーチャント・バンキング事業は1.8%減収だが、前期に新規取得した物件が寄与して19.5%増益だった。オペレーション事業は全般的に停滞して2.0%減収、15.7%減益だった。

 なお子会社MBKブロックチェーンとCR社の独占的業務委託契約による第1号案件に関して、審査手数料およびプロモーション手数料として受領しているコインの会計処理を現在確認中であり、業績に与える影響も精査中としている。第1四半期の進捗率は低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株価は出直り期待

 株価は上値の重い展開だが、一方では下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。8月9日の終値は357円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円87銭で算出)は約124倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は約0.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS125円41銭で算出)は約2.8倍、時価総額は約100億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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