フェローテックHDの今期第1四半期は、太陽光関連事業からの撤退の影響で、減収ながら最終利益は大幅増益

◇電子デバイス事業は2桁増収大幅増益

 フェローテックホールディングス<6890>(JQS)の今期第1四半期は、太陽光関連事業からの撤退の影響で、減収ながら最終利益は大幅増益となった。

 同社グループの属するエレクトロニクス産業では、海外での半導体メモリや液晶・有機ELパネルなどの設備投資が調整局面入りしており、設備稼働率もやや低めの水準で推移した。

 このような事業環境のなか、同社の半導体等装置関連事業は、大型液晶・有機ELパネル製造装置向けの真空シールが軟調で、装置受託製造も減少している。一方で、マテリアル製品の販売は、概ね計画通りであった。電子デバイス事業は、主力のサーモモジュールは、北米・中国・欧州市場の自動車販売台数の前年割れの影響で温調シート向けが軟調に推移したが、他の業界用途は底堅く、パワー半導体基板が伸長した。

 その結果、第1四半期円蕨業績は、売上高210億02百万円(前年同期比7.4%減)、営業利益20億94百万円(同22.6%減)、経常利益17億89百万円(同0.2%増)、純利益13億26百万円(同94.1%増)となった。

 半導体等装置関連事業の主力の真空シールは、半導体や有機ELパネルの設備投資が調整局面を迎えた結果、同製品の販売は軟調な展開となった。半導体のウエーハプロセスに使用されるマテリアル製品は、データセンター等のサーバー用やスマートフォン用の各種メモリの価格が下落傾向となり、デバイスメーカー各社の装置稼働率はやや低水準で推移した。ウエーハ加工は、上海工場における8インチウエーハの認定を順次取得しており、販売量は増加している。装置部品洗浄(半導体製造装置、液晶パネル製造装置等の部品洗浄)も順調に伸長した。安徽省銅陵市に5拠点目となる新たな工場を稼働させ、本部品洗浄の中心的な役割を担うため組織再編を行い、経営体制の合理化による事業強化及びブランド力強化を打ち出した。石英坩堝は、概ね計画のとおりであった。その結果、業績は、売上高138億76百万円(同6.5%増)、営業利益16億65百万円(同32.2%減)と増収減益となった。

 電子デバイス事業においては、主力の自動車温調シート向けサーモモジュールは、北米・中国市場での自動車販売台数が前年割れとなり影響を受けた。その他の用途では、移動通信システム、医療検査装置、バイオ関連機器など、概ね計画のとおりに推移した。一方、パワー半導体用基板は、顧客開拓が順調に進んだことから増産体制のため新工場が稼働している。磁性流体は、高位機種スマートフォンの販売台数が減少したことから、バイブレーション用途が軟調に推移した。電子デバイス事業の各製品は、景気に左右されにくい業種への販売を進めている。この結果、売上高は32億59百万円(同14.5%増)、営業利益7億14百万円(同39.1%増)2ケタ増収大幅増益となった。

 なお、「太陽電池関連事業」は自社製品販売から撤退し、太陽電池向けシリコン製品のOEM受託製造のみ行っていることから量的な重要性が低下したため、今期より、報告セグメントから除外し、「その他」へ異動した。また、従来、「太陽電池関連事業」に属する製品として管理していた「石英坩堝」は製品用途・販売先業種が変化したため「半導体等装置関連事業」に含めて管理する事となった。

 20年3月期連結業績予想は、売上高920億円(前期比2.8%増)、営業利益88億円(同0.2%増)、経常利益81億円(同0.5%増)、純利益47億円(同65.2%増)と増収増益を見込む。

 配当については、前期と同じく24円(第2四半期末、期末各12円)を予想している。

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