【編集長の視点】ヨコレイは小反落も3Q増益転換業績がサポートし期末の配当権利取りが交錯

ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日18日に10円安の1040円と小反落して引けた。日経平均株価が、11営業日ぶりに反落したことから、7月17日につけた年初来高値1073円に並ぶ高値水準にある同社株も、目先の利益を確定する売り物に押された。ただ9月期の期末接近とともに期末配当の権利取りの買い物が、依然として下値に交錯しており、今年8月13日に発表した今2019年9月期第3四半期(2018年10月~2019年6月期、3Q)業績が、増益転換して着地したことも見直された。株式需給的にも、高値で信用売り残が積み上がり、株不足となり逆日歩のつく好需給も買い手掛かりとなっている。

■前期の記念配当込みの増配を普通配当として安定継続

 同社の今2019年9月期配当は、前期に設立70周年の記念配当3円を上乗せして23円とした年間配当を普通配当として安定継続して年間23円と予定している。また、株主優待制度も継続しており、1000株以上を保有する株主に水産品を贈呈するなど、利益還元策についても積極推進している。年間配当利回りは、2.21%と東証第1部全銘柄平均の2.05%を上回り、インカム・ゲイン妙味を示唆している。

 この株主厚遇策は、同社業績が堅調に推移していることが背景となっている。今2019年9月期業績は、売り上げ1500億円(前期比12.7%減)、営業利益58億円(同20.2%増)、経常利益60億円(同11.7%増)、純利益37億円(同10.7%増)と増益転換が予想され、純利益は、2017年9月期の過去最高(33億6000万円)を2期ぶり更新する。前期業績を下押したエビ、イカ、カニなどの市況上昇負担が一巡し、冷蔵倉庫事業では、昨年2月に東京羽田物流センター、同11月に名港物流センターがそれぞれ稼働を開始したことなどが要因となる。今年8月13日に開示した今期3Q業績も、売り上げは、欧米への鮭鱒輸出事業の計上基準を変更したことで前年同期比17.8%減となったが、利益は、前年同期比8.1%営業増益、10.5%経常増益、8.3%純益増益と増益転換した。

 この好業績は、来2020年9月期が現在、推進中の中期経営計画の最終年度となっているためさらに継続する見込みである。中期計画の来期の目標業績は売り上げ1600億円、営業利益70億円、経常利益70億円、純利益45億円として設定している。昨年12月につくば物流センター(茨城県つくば市)、今年6月に子安物流センター(神奈川県横浜市)の跡地開発として研修施設・倉庫、同6月に「長崎ソーティングスポット(仮称)」、さらに今年8月には「アイランドシティ物流センター(仮称)」をそれぞれ起工しており、新物流センターの積極増設などが業績続伸をサポートする。

■1年ぶり1000円台回復から昨年高値を上抜きPBR1倍を目指す

 株価は、「長崎ソーティングスポット」起工の発表をテコに約1年ぶりに1000円大台を回復し、売り込んでいた信用取引の売り方も買い戻しに動いて年初来高値1073円をつけた。同高値後も、全般波乱相場下でも1000円台を出没する堅調推移が続き、期末配当の権利取りで年初来高値に肉薄し、この高値水準で、信用買い残が減少する一方で信用売り残がさらに積み上がり信用倍率が0.09倍の好取組となり、売り方の買い戻しも見込まれる。PERは16倍となっているが、PBR評価では0.79倍となお割り負けており、昨年1月高値1206円奪回から、PBR1倍の1株純資産1309円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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