レカムは反発の動き

 レカム<3323>(JQ)は中小企業向けに情報通信事業、環境関連事業、BPO事業、海外法人事業を展開している。19年9月期はM&A効果や積極的な事業展開で大幅増収増益・増配予想である。第3四半期累計が先行投資負担で減益だったため、通期下振れに注意が必要だが、第4四半期の挽回に期待したい。株価は8月の年初来安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■情報通信機器やLED照明販売が主力、海外展開を加速

 中小企業向けに情報通信機器(ビジネスホン、デジタル複合機、UTMなど)を販売する情報通信事業、環境関連製品(LED照明、小売電力、業務用エアコンなど)を扱う環境関連事業、オフショア(海外拠点)で日系企業の業務プロセスを受託するBPO事業、および海外法人事業を展開している。

 18年9月期の事業別売上高構成比は情報通信事業64%、環境関連事業17%、BPO事業(内部売上含む)6%、海外法人事業15%だった。利益面では海外法人事業が柱に成長している。

 17年12月光通信<9435>とLED照明・業務用エアコン販売で資本業務提携、18年1月光通信の子会社アイ・イーグループ・エコの株式51%取得して子会社化(レカムIEパートナーに社名変更、18年9月レカムエナジーパートナーがレカムIEパートナーを吸収合併)した。

 18年4月には情報通信機器・光回線販売のR・S、およびOAソリューション事業・NTT回線事業のG・Sコミュニケーションズを子会社化、18年12月には住宅用太陽光発電システムなどを販売する産電社を子会社化した。

 海外は中国、アセアンを中心に展開を加速している。18年9月ベトナムでの太陽光発電システム販売で和上ホールディングスおよびJ・システムと業務提携、18年10月インドの子会社が営業開始、18年10月子会社レカムビジネスソリューションズ(大連)が中国新三板市場に新規上場、18年11月子会社レカムビジネスソリューションズ(大連)がMPD社(大連)を子会社化した。18年12月にはインドにおいてLED照明輸入のための規格認証手続きが完了し、輸入準備が整った。

 19年4月には台湾で、LED照明や新電力サービスを販売するエイトツール社との合弁会社が営業開始した。19年6月にはエフティグループ<2763>のタイ、フィリピン、インドネシアの現地子会社5社(孫会社1社含む)の株式80%を取得した。

■中長期成長戦略でグローバル専門商社構想

 中期経営計画では、目標値に19年9月期売上高100億円、営業利益10億円を掲げている。4事業(情報通信事業、環境関連事業、BPO事業、海外法人事業)の規模拡大に向けたM&A戦略も推進する。また中長期成長戦略として、IT&エコソリューションを提供するグローバル専門商社構想を掲げている。

 さらに中期経営計画以降の成長戦略として、営業社員の早期育成・戦力化、海外進出の加速化、中国子会社上場による事業成長の加速化、M&Aの成功パターン化を推進する方針だ。

■19年9月期大幅増益予想、3Q累計が減益で4Qの挽回期待

 19年9月期の連結業績予想(エフティグループから株式取得するASEAN子会社5社の第3四半期からの連結に伴い5月13日に上方修正)は、売上高が18年9月期比71.3%増の125億円、営業利益が91.4%増の12億50百万円、経常利益が2.0倍の12億80百万円、純利益が2.2倍の6億70百万円としている。配当予想は1円50銭増配の年間3円(期末一括)としている。連続増配予想で配当性向は30.2%となる。

 M&A効果や積極的な事業展開で大幅増収増益予想である。事業別計画は、情報通信事業の売上高が52億80百万円で営業利益が3億30百万円、環境関連事業売上高が35億円で営業利益が2億80百万円、BPO事業の売上高が7億70百万円で営業利益が1億円、海外法人事業の売上高が32億円で営業利益が5億40百万円としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比42.8%増の70億86百万円、営業利益が1.0%減の2億66百万円、経常利益が0.9%減の2億53百万円、純利益が20.8%減の1億円だった。M&Aも寄与して大幅増収(情報通信事業が6.3%増収、環境関連事業が3.0倍増収、BPO事業が87.7%増収、海外法人事業が32.5%増収)となり、売上総利益率も上昇したが、M&Aや海外新拠点開設など先行投資負担で減益だった。なお一時的な投資コストを除く営業利益は3億24百万円だったとしている。

 第3四半期累計の進捗率が低水準のため通期下振れに注意が必要だが、第4四半期の挽回に期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は8月の年初来安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。9月19日の終値は134円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS9円93銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS44円02銭で算出)は約3.0倍、時価総額は約95億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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