【どう見るこの相場】いよいよ消費税率が引き上げられて理想買いから現実買いへ

どう見るこの相場

■10月の「新年度相場」は2大イベントを先取りしてシナリオ相場の再現も有力

 10月相場を「新年度相場入り」などと表現するのは、失礼ながら旧石器時代を生き延びた超ベテランとお見受けする。そんな相場イベント用語は、ほぼ死語と化しているからだ。しかし昔も昔、証券業界が証券不祥事で大揺れに揺れた前、さらに遡ってバブル相場がはじける以前は、この1年に2度の一大相場イベントの「新年度相場」は、市場関係者全員がこぞって期待を込めて株価材料としてきた。

 いわば証券界の年に2回の正月相場となる4月相場と10月相場を前にして、大手証券は、3月末と9月末に部店長会議を開催して新年度の営業目標方針とそのための相場展望、株価設定、営業推進銘柄を決定し、全店舗、全社員にノルマ営業の大号令を発した。この部店長会議のイケイケドンドンの営業姿勢は、地場の証券会社まで巻き込み買いが買いを呼び、ついに日経平均株価は、あの史上最高値の3万8915円まで煽り立てられた。いわゆる相場操縦まがいの営業推奨方式であり、シナリオ営業である。襟を正したのか、かつてのパワーを失ったのか、現在では、こうした大手証券の挙動に注目する市場関係者はほぼ死滅した。

 しかしシナリオ相場そのものは、現在でも健在である。大手証券を大きく上回る強大なシナリオライターが数多く登場してくるからだ。その最強のシナリオライターともいうべきなのは、米国のトランプ大統領だろう。株価をみながら中国への制裁関税への硬軟姿勢を使い分けているとさえ推測され、コロコロと変化する。株価が急落すると、米中貿易協議の再開を示唆して下支えし、株価が、高値にあるときは逆に制裁強化を臭わせて中国に圧力を掛ける。来年11月の大統領選挙での再選を目指す自国第一主義ならぬ自己第一主義の「ディール」にしかみえないが、その強大パワーに誰も抗えない。

 国内でもこの10月相場のシナリオライターの存在感が増しそうだ。その一人は、安倍晋三首相である。同首相は、消費税増税の使途変更を争点に2017年10月22日に総選挙に打って出て大勝しており、この消費税増税が、10月1日に実施される。消費税増税の増収分5兆円程度のうち2兆円を幼児教育・保育無償化に充当し、財政再建については先送りとした。関連株は、この総選挙を挟んで3割高、5割高する銘柄が続出しており、10月相場ではいよいよ消費税率が8%から10%へ引き上げられ、理想買いが現実買いに変わってくる。3連休明けは、10月相場のもう一人のシナリオライターのスウェーデンのノーベル財団が授与するイベントのノーベル賞関連株とともにシナリオ相場の先取り余地が拡大しそうだ。

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