ヤマシタヘルスケアホールディングスは戻り試す、20年5月期1Q順調で通期上振れ余地

 ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社の純粋持株会社である。20年5月期営業減益予想だが保守的だろう。第1四半期は2桁増収・黒字化と順調だった。通期上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価はモミ合い上放れの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■九州を地盤とする医療機器専門商社

 山下医科機械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設して新規上場した。

 子会社の山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器販売・メンテナンス、医療材料・消耗品販売、および医療モールを展開している。イーピーメディックは整形外科用インプラントの製造販売、トムスは医療機器販売・メンテナンスを展開している。

 19年5月期セグメント別売上構成比は医療機器販売業99%、医療機器製造・販売業1%、医療モール事業0%である。

 17年9月光通信<9435>と資本業務提携した。光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開するため、第三者割当による自己株式処分で山下医科機械の4万7533株を光通信に割り当てるとともに、光通信の「EPARK」事業を展開するイーディライトの第三者割当増資を引き受けた。19年7月には自然落下制御式輸液装置を開発・製造するアイムと資本業務提携した。

 収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。

■中期経営計画で21年5月期経常利益6億円目標

 中期経営計画では、基本方針を「継続的な収益構造の確立に向けた事業会社の構造改革、および企業買収等によるヘルスケア領域でのグループ力向上を図る」として、目標値に21年5月期売上高605億円、営業利益5億30百万円、経常利益6億円を掲げている。

 医療機器販売業では、電子カルテなどの医療情報システム構築支援、合弁事業の医科向け会員ネットワーク「EPARK」の普及拡大、SPD(Supply Processing&Distribution)事業の推進・収益性向上を推進している。医療機器製造・販売業では、台湾の医療機器メーカーと協力して手術器械の単回使用化に取り組んでいる。

■20年5月期営業減益予想だが1Q順調で通期上振れ余地

 20年5月期連結業績予想は、売上高が19年5月期比1.7%増の625億81百万円、営業利益が23.8%減の3億97百万円、経常利益が26.5%減の4億53百万円としている。純利益は特別損失が一巡して85.0%増の2億67百万円としている。配当は10円減配の年間32円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 新規事業参入に伴う販促費の増加、システム高度化や省エネ投資等の設備関連費の増加、人件費の増加など、先行投資による費用増加で営業・経常減益予想だが、やや保守的だろう。

 第1四半期は、売上高が前年同期比11.9%増の159億80百万円、営業利益が1億01百万円の黒字(前年同期は29百万円の赤字)、経常利益が1億26百万円の黒字(同11百万円の赤字)、純利益が86百万円の黒字(同63百万円の赤字)だった。

 主力の医療機器販売業は11.9%増収で2.4倍増益だった。一般消耗品分野が0.2%減収、専門分野が3.7%減収と伸び悩んだが、一般機器分野が41.4%増収と好調に推移して牽引した。低侵襲治療分野も2.5%増収と堅調だった。また情報・サービス分野は4.4倍増収と大幅伸長した。

 第1四半期の進捗率は売上高25.5%、営業利益25.4%と順調だった。さらに第2四半期および第4四半期の構成比が高い特性を考慮すれば、通期上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は5月末の株主対象

 株主優待制度は毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じてオリジナルクオカードを贈呈する。

■株価は戻り試す

 株価は下値を切り上げながらモミ合い上放れの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。9月30日の終値は1319円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS104円67銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2496円10銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約34億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る