【編集長の視点】日タングステンは配当権利落ち安値水準から反発、中期経営計画を見直し超割安株買いが再燃

 日本タングステン<6998>(東2・福証)は、前日8日に12円高の2029円と反発して引け、9月27日につけた中間配当の権利落ち安値1988円に並ぶ安値水準から出直った。同社は、中期経営計画に基づき世界シェア第2位を誇るNTダイカッターや同トップのハードディスクドライブ磁気ヘッド基板、さらに電気自動車(EV)向けの接点製品などを軸に積極的なグローバル戦略を展開しており、この最終年度となる来2021年3月期業績の高成長を先取り超割安株買いが再燃した。テクニカル的にも、25日移動平均線が75日移動平均線を下から上に抜くゴールデンクロス(GC)を示現し、上昇トレンド転換を示唆したとして買い手掛かりとなっている。

■NTダイカッター、EV用接点など有望製品でグローバル展開

 同社は、東証第2部と福証に重複上場の小型株だが、世界トップ級の製品を擁する「ニッチ・トップ」企業である。その代表製品は、紙おむつ・ナプキン製造用のNTダイカッターでアジア・シェアが39%でトップ、北米・南米シェアが28%と2位にある。紙おむつの世界市場は、幼児用・大人用を含めて中国・南米などを中心に高成長、NTダイカッターも年率16%の拡大が続くと予測されている。同社は、ロールの表面を超硬合金コーティングする最先端のCCアンビルロールを開発し、今年1月にテストライン装置を導入するとともに、10月には設立したブラジル子会社の操業開始を予定している。

 このほか低侵襲医療向けのカテーテル用のタングステンリボン、ハードディスクドライブ磁気ヘッド基板、EV向けの接点製品など競争力のある独自製品のグローバル戦略を推進しており、中期経営計画の最終年度の2021年3月期は、売り上げ142億円、営業利益12億円、ROE(自己資本利益率)8.3%を業績目標としている。

 今2020年3月期業績は、米中貿易摩擦激化や世界経済減速、さらにEV用接点製品の生産能力増強などの設備投資負担も重なり、売り上げ124億円(前期比2.0%減)、営業利益8億2000万円(同20.4%減)、経常利益10億1000万円(同8.6%減)、純利益7億4000万円(同11.0%減)と慎重に予想しているが、来2021年3月期業績には大きく増収増益転換する見込みである。足元の今期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)業績は、減収減益転換したが、EV用接点製品などを中心とする電機部品事業は増収・大幅増益で着地しており、助走が始まったことを示唆した。配当も、中間配当40円、期末配当45円の合計年間85円を予定している。

■PER6倍、PBR0.4倍、配当利回り4.1%と評価不足で年初来高値へキャッチアップ

 株価は、8月の全般相場急落とともに年初来安値1860円へ突っ込み、インドの法人税減税で大手衛生用品メーカーの株価が人気化したことや中間配当の権利取りで2124円まで引き戻した。足元では、配当権利落ち後安値1988円から売られ過ぎとして買い直されて2000円大台を回復、25日線が75日線を上抜くGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。なおPERは6倍台、PBRは0.49倍、配当利回りは4.18%と評価不足であり、まず年初来高値2548円へキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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