アイビーシーは下値切り上げ、19年9月期大幅増収増益予想、20年9月期も収益拡大期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アイビーシー<3920>(東1)は、ネットワークシステム性能監視ツールを主力として、IoTセキュリティ基盤サービス「kusabi」などブロックチェーン技術を活用したIoT分野等への展開も推進している。19年9月期大幅増収増益予想である。20年9月期も収益拡大を期待したい。株価は8月の直近安値圏から徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。なお11月13日に19年9月期決算発表を予定している。

■ネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニー

 ネットワークシステム性能監視ツール(ソフトウェア)のリーディングカンパニーである。マルチベンダーの機器で構成される複雑なネットワークシステム全体の稼働・性能状況を、精度の高いデータを取得して分析するネットワークシステム性能監視ツールの開発・販売、および導入支援サービスなどを提供している。

 ネットワークシステム性能監視に必要なマルチベンダー対応ソフトウェアを自社開発し、様々なデータおよび統計分析・解析ノウハウを蓄積してサービスをワンストップで提供していることが強みだ。ほぼ全ての主要メーカーに対応するとともに、クラウドとオンプレミス環境を組み合わせた「ハイブリッドクラウド」の統合監視に対応している。100社を超えるマルチベンダー機器対応で、使い勝手の良い性能監視ソフトウェアは世界でも類がない。

 主力製品はネットワーク性能監視ソフトウェアのSystem Answerシリーズである。累計販売実績は08年12月リリースのSystem Answerおよび11年7月リリースのSystem Answer G2の合計で1400システム以上に達している。

 17年7月には情報監視機能を備えた新製品System Answer G3、18年8月にはクラウド型System Answer G3 on SAMSを発売した。これに伴い19年12月末をもってG2シリーズの販売を終了予定である。

■高収益ストック型ビジネスモデル

 18年9月期の事業別売上高構成比は、ネットワークシステム性能監視ソフトウェアに係る自社開発製品のライセンス(ソフトウェア使用権)販売が70%、自社製品導入支援やネットワークシステム構築に係るコンサルティングなどのサービス提供が14%、その他物販(他社製情報通信機器等の販売)が16%だった。

 ライセンス販売という高収益のストック型ビジネスモデルが特徴である。また顧客の検収時期の影響で、第2四半期と第4四半期の構成比が高い季節要因がある。大手優良企業を中心とした顧客構成で売上債権の貸倒実績が無く、安定的な財務体質を維持していることも特徴だ。

■中期成長戦略でIoT分野等への展開を加速

 中期成長戦略として、セキュリティ分野も含めたIBCソリューション(System Answerシリーズを中心とするサービス)の拡大、インシュアテック(保険×IT)分野やブロックチェーン技術を活用したIoT分野等への展開、およびIBCソリューション拡充や成長分野進出に向けたベンチャー企業に対する投資を推進している。

 IBCソリューションの拡大では高付加価値サービスの創出を目指している。19年4月にはNSD<9759>の子会社であるNSD先端技術研究所に出資して持分法適用関連会社化した。19年8月にはナビプラスからセキュリティ事業の一部を譲り受けた。

 インシュアテック(保険×IT)分野の子会社iChain(19年5月完全子会社化)は、他社に先駆けてブロックチェーン技術を活用したインシュアテック事業を推進し、保険ポートフォリオ管理スマホアプリ「iChain保険ウォレット」を配信している。18年12月「iChain保険ウォレット」が三井住友海上火災保険「お客さまWebサービス」とサービス連携、19年4月ブロックチェーン開発会社のサンデーアーツを子会社化した。

 IoTセキュリティ基盤サービス「kusabi(楔)」は、18年5月特許取得した2大中核技術(ブロックチェーン技術による電子証明システムと独自のデバイスプロビジョニングシステム)により、ソフトウェアだけでIoTセキュリティを実現する画期的なサービスである。3つの不要(専用チップが不要、認証局登録が不要、マルウェア対策が不要)を実現し、新たなIoT時代のセキュリティエコシステムを構築する。

 18年2月IoTセキュリティ標準化に向けたコンソーシアム「kusabiコンソーシアム」を設立、18年3月「kusabi」のパートナーライセンス販売を開始、19年4月「kusabi」を詳細に解説したホワイトペーパーを発表、19年5月「kusabi」実証実験を支援するPoC支援サービスを開始した。

 ベンチャー企業投資では、多くの投資実績を持つOctave Tech Investment L5 LLCに出資し、同ファンドを通じて自動運転車向けLiDARを開発する米スタートアップ企業に出資している。

■19年9月期大幅増収増益予想、20年9月期も収益拡大期待

 19年9月期連結業績予想(iChainを新規連結して連結決算に移行)は、売上高が18億37百万円、営業利益が2億77百万円、経常利益が2億76百万円、純利益が1億86百万円としている。18年9月期の非連結業績との比較で売上高は42.4%増収、営業利益は37.2%増益、経常利益は34.6%増益、純利益は31.1%増益となる。大幅増収増益予想である。

 第3四半期累計は売上高が12億74百万円、営業利益が81百万円、経常利益が69百万円、純利益が26百万円だった。事業別売上高はライセンス販売が新規大型案件も寄与して前年同期比7.6%増の6億87百万円、サービス提供がライセンス販売受注に伴う構築・運用サポートの増加で42.5%増の1億98百万円、その他物販がネットワーク周辺機器の増加で2.3倍の3億14百万円だった。なお大手電機メーカー向け「kusabi」導入検討に伴うPoC支援サービス売上も計上している。

 その他物販の売上増に伴う売上原価の増加、人的リソース増強に伴う販管費の増加などで、通期予想に対する利益進捗率が低水準の形だが、利益は第4四半期偏重の特性がある。通期ベースで収益拡大を期待したい。また20年9月期も収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 なお19年9月5日発表の自社株買い(上限10万株・1億円、取得期間19年9月6日~19年10月31日)については、9月30日時点の累計取得株式数が4万6200株となっている。

 株価は8月の直近安値圏から徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。10月23日の終値は1134円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS32円70銭で算出)は約35倍、前々期実績PBR(前々期実績の非連結BPS297円20銭で算出)は約3.8倍、時価総額は約65億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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