アイリッジは戻り試す、20年3月期収益改善期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アイリッジ<3917>(東マ)はO2Oソリューション事業をベースとして、電子地域通貨領域やライフデザイン領域に事業領域拡大戦略を推進している。20年3月期は第1四半期が赤字だったが、通期ベースで収益改善を期待したい。株価は9月の直近安値圏から反発している。戻りを試す展開を期待したい。

■O2Oソリューション事業をベースに事業領域拡大

 企業のO2Oを支援するO2Oソリューション事業をベースとして、フィンテック(電子地域通貨)領域やライフデザイン領域に事業領域拡大戦略を推進している。

 18年5月デジタルガレージ<4819>と資本業務提携、18年8月デジタルガレージからセールスプロモーションのDGマーケティングデザインの株式80%取得して連結子会社化、19年10月システム受託開発のキースミスワールドを吸収合併した。

 20年3月期第1四半期のサービス別売上高構成比は、月額報酬(FANSHIPサービス利用料、アプリのシステム保守料、ロケーションサービス提供料)21%、アプリ開発・コンサル・プロモーション等79%だった。

■O2Oソリューション事業はFANSHIPが主力

 O2Oソリューション事業は、ファン育成プラットフォーム(顧客データ分析プラットフォーム)FANSHIP(従来のスマホ向け位置情報連動型O2Oソリューションpopinfoを19年7月ブランドリニューアル)が主力で、利用ユーザー数(ID発行数)は19年6月末時点で1億5251万となった。利用ユーザー数に応じた従量課金型月額報酬の積み上げによるストック収益となる。

 成長戦略として、FANSHIPの機能強化によるストック収益拡大を推進する。19年7月には商業施設特化型アプリ開発・運用・販促サービスFANSHIP for SCの提供を開始した。19年9月にはFANSHIPがゆうちょPayに採用された。

 さらに子会社DGマーケティングデザインとの連携によって、デジタル・フィジカルマーケティング領域に展開する。オンライン・オフライン双方において、広告~購買~決済~SRMまで消費者の行動プロセス全てをカバーするトータルソリューションを推進する。

■電子地域通貨事業も展開加速

 フィンテック領域(電子地域通貨事業)は、18年8月設立の子会社フィノバレーが、電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」をベースとして事業展開を加速している。

 17年12月飛騨信用組合「さるぼぼコイン」商用利用開始、18年2月伊予銀行「IYOGIN CO-in」実証実験開始、18年7月小田急電鉄「新宿シネバルコイン」実証実験開始、18年10月木更津市役所・君津信用組合「アクアコイン」商用利用開始した。また九州全域のキャッシュレス決済インフラ整備を目的とした九州キャッシュレス観光アイランド推進コンソーシアムに参画した。

 19年9月にはeumo、ポケットマルシェ、IKEUCHI ORGANICと共同で電子地域通貨「eumo」の実証実験を開始した。電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」が採用された。また19年9月開催された「J-Coin Payビジネスコンテスト2019」で最優秀賞を受賞した。今後「J-Coin Pay」を活用した新サービスの実現に向けて、みずほフィナンシャルグループ等との協業の検討を進める。

■ライフデザイン事業など新規事業も育成

 ライフデザイン領域の新規事業では18年8月、デジタルガレージの子会社で分譲マンションのチラシ制作など、不動産マーケティング大手のDGコミュニケーションズの株式14%を取得した。従来は流通・小売・鉄道・金融分野が主力だったO2Oソリューションを、DGコミュニケーションズと連携して、不動産・住まい・街づくりなどライフデザイン領域にも展開する。

 また18年9月にはAIスピーカー向けアプリ開発プラットフォームNOIDを提供開始している。プログラミング不要で簡単にスマートスピーカーアプリが作れるクラウドサービスである。

■20年3月期通期ベースで収益改善期待

 20年3月期連結業績予想(19年3月期は決算期変更で8ヶ月決算)は、売上高が55億円、営業利益が2億50百万円、経常利益が2億50百万円、純利益が1億20百万円としている。

 開発体制強化による生産性向上と内製割合上昇、高付加価値案件への取り組み拡大による粗利率改善、ストック型ソリューションの展開・開発強化、販管費の適正化などを推進する。

 第1四半期は売上高が7億88百万円で、営業利益が1億75百万円の赤字だったが、概ね計画水準としている。大型案件の増加で第4四半期偏重の売上・利益計画であり、前期からの低粗利案件が第2四半期までに解消する見込みだ。また第2四半期以降に大型高付加価値案件の順次リリースを予定している。通期ベースでの収益改善を期待したい。

■ストック型ソリューションを拡大

 今後の重点取り組みとしては、開発体制強化・高付加価値案件拡大による粗利率改善、FANSHIPを軸としたストック型ソリューションの拡大、グループシナジー拡大と新規事業・サービスの強化などを推進する。

 中期経営計画の目標値としては、22年3月期売上高70億円、営業利益5億円、EBITDA7億50百万円を掲げている。中長期的に収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は9月の直近安値圏から反発している。戻りを試す展開を期待したい。10月24日の終値は939円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円19銭で算出)は約52倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS385円29銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約63億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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