ジーニーは底固め完了感、20年3月期営業黒字化予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

ジーニー<6562>(東マ)はネット媒体の広告枠を自動売買するアドテクノロジーをベースとして、事業領域をマーケティングテクノロジー領域に拡大し、マーケティングテクノロジー事業を展開している。20年3月期営業黒字化予想である。第2四半期累計は営業赤字拡大したが、下期は営業黒字見込みとしている。下期の収益改善を期待したい。株価は底固め完了感を強めている。

■マーケティングテクノロジー事業を展開

 インターネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)をベースとして、事業領域拡大およびサービス提供地域の拡大戦略を推進し、マーケティングテクノロジー事業(アド・プラットフォーム事業、マーケティングソリューション事業、海外事業)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比はアド・プラットフォーム事業85%、マーケティングソリューション事業8%、海外事業8%だった。収益面の季節特性として、広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。

 なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社である。

■アド・プラットフォーム事業はDOOH領域にも積極展開

 アド・プラットフォーム事業は、ネットメディア向けサプライサイドビジネスプラットフォーム「GenieeSSP」を主力として、広告主向けデマンドサイドビジネスプラットフォーム「GenieeDSP」や「GenieeDMP」も展開している。

 ネット広告取引市場では、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して、広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。

 また事業領域拡大戦略の一環として、DOOH(交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域にも積極展開している。

 18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月DeNA<2432>が提供するタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。

 19年8月には、ジオネクサスが提供する動画再生機能付呼び出しベルで放映される「ブレイクキャスト」に、DOOH広告配信プラットフォームをOEM提供した。全国200店舗のフードコート呼び出しベル3500台(19年7月現在)に、デジタルサイネージ広告を配信する。

 19年11月にはメディカルアシストTVと業務提携した。全国約1400の歯科医院に設置するデジタルサイネージを活用したプログラマティックOOH広告を配信する。またアドテクノロジーで培ったAI・機械学習技術を活かして、データ活用支援サービス「GDX」を開始した。

■マーケティングソリューション事業と海外事業も拡大

 マーケティングソリューション事業は、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マーケティングオートメーション「MAJIN」、チャット接客ツール「chamo」を展開している。

 CRM/SFAシステム「ちきゅう」は、顧客管理のためのCRMシステムおよび商談管理のためのSFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。マーケティングオートメーション「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に潜在顧客の集客や購買意欲等の向上、購買・契約等を行うためのプラットフォームである。19年9月には「ちきゅう」と「MAJIN」を連携し、ワンプラットフォーム化を実現した。クロスセルの取り組みを推進する。

 海外事業は東南アジアを中心に「GenieeSSP」などを展開し、19年3月期にはインドへ事業領域を拡大した。今後はソフトバンクと共同提供するクロスボーダーサービスを強化・拡大する方針だ。

■20年3月期3Qでの黒字転換を足掛かりに、通期計画の達成を見込む

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比4.1%増の155億72百万円、営業利益が23百万円の黒字(19年3月期は3億10百万円の赤字)、経常利益が7百万円の黒字(同3億30百万円の赤字)、EBITDAが3億59百万円の黒字(同19百万円の黒字)、純利益が39百万円の赤字(同5億44百万円の赤字)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比10.6%減の70億07百万円、営業利益が2億29百万円の赤字(前年同期は74百万円の赤字)、経常利益が2億46百万円の赤字(同85百万円の赤字)、EBITDAが79百万円の赤字(同1億02百万円の黒字)、純利益が2億39百万円の赤字(同2億87百万円の赤字)だった。

 売上面では、マーケティングソリューションが「ちきゅう」の複数大型案件などで40.9%増収、海外が大手化粧品会社の大型キャンペーン案件などで49.2%増収と大幅伸長したが、主力のアド・プラットフォームが取引先アドネットワーク事業者の方針変更の影響で18.1%減収だった。利益面は売上の減少や人件費の増加で営業赤字が拡大した。なおアド・プラットフォームは大幅減収だが概ね計画水準としている。またEBITDAは計画を上回ったとしている。

 通期の営業黒字化予想(売上総利益は33.1%増益計画)を据え置いた。第2四半期累計は営業赤字拡大したが、単月ベースで9月に営業黒字化しており、四半期ベースで第3四半期以降は広告業界の需要期に伴って営業黒字見込みとしている。取引先アドネットワーク事業者の方針変更の影響が一巡し、コスト管理も徹底する。下期の計画は売上高85.7億円、売上総利益16.3億円、EBITDA4.38億円としている。下期の収益改善を期待したい。

■22年3月期EBITDA30億円超目標

 中期経営計画では目標値に22年3月期売上高250億円、売上総利益60億円、EBITDA30億円超を掲げている。

 事業ポーフォリオマネジメントとKPI管理を強化しつつ、プロダクト間クロスセルの取り組み拡大、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の拡大を推進する。マーケティングソリューションなど、利益率の高いプロダクトやストック型収益の構成比も高まる見込みだ。中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は底固め完了感

 株価は底固め完了感を強めている。11月28日の終値は689円、時価総額は約106億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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