サンコーテクノの第2四半期売上高は過去最高、利益は15年3月期に次ぐ好業績

■既存事業の好調さに加え、3社のM&Aが業績に貢献

 サンコーテクノ<3435>(東2)の第2四半期売上高は過去最高、利益は15年3月期に次ぐ好業績となった。背景には、既存事業の好調さに加え、3社のM&Aが業績に貢献したことが挙げられる。

 20年3月期第2四半期連結業績は、売上高87億34百万円(前年同期比15.0%増)、営業利益5億66百万円(同14.8%増)、経常利益5億72百万円)、純利益3億62百万円(同7.7%増)となった。

 ファスニング事業は、金属系あと施工アンカーは前年同期比で10%増となり、接着系あと施工アンカーは同5%増、土木・インフラ関係を中心に完成工事高が増加したことで各種工事関連は同10%増、ファスナー、電動工具も増税前の駆け込み需要により約1億円増加したことで、売上高65億80百万円(同8.4%増)、セグメント利益7億83百万円(同4.1%増)となった。

機能材事業は、今期より連結対象企業となった浦和電研、成光産業、成光パックスの業績が貢献したことにより、売上高21億53百万円(同41.4%増)、セグメント利益1億92百万円(同34.3%増)の大幅増重増益となった。ちなみに、新規連結となった3社の売上高は5億13百万円であった。特に、伸びたのは、電子基盤及びアルコール検知関連で、前年同期比55%増となった。

 また、海外向けの売上高は5億08百万円と第2四半期では初めて5億円を超えた。地域別では、北米向けに電動油圧工具の販売が増加し、前年同期比15%増となった。また、東南アジア向けでは、タイ国内でアンカーが好調な売れ行きであったことから同4%増となった。通期目標10億円の達成が期待される。

 なお今期の下半期の事業環境は、2019年は、東京オリンピック、パラリンピックの事業が活発化していて、今年の夏場がピークであったが、同社の製品は、完工間近で使用されるので、第3クオーター以降がピークとなる。そのあと、オリンピック関連以外の都市再開発、耐震補強工事を含むインフラ補修等の工事が数年続くと思われることから、事業環境は良好といえる。

 そのような状況の中で、現場の工事関係者の悩みを解消するための新製品として、4月より新発売されたドリルの先端に穴をあけ、コンクリートを削ると同時に粉塵を吸い込むことから上向きや室内の作業場で威力を発揮するパワーキュウジンドリルを開発している。

 また、アスファルト舗装用アンカーを求める現場の声に応え、ハードエッジアンカーと接着系アンカーを用いた施工法を提案している。

 更に、アンカー業界では、2012年12月に発生した「笹子トンネル天井板落下事故」の調査後、接着系アンカーを天井に使うのは不向きであることが判明し、新たなアンカーの開発が急がれてきたが、同社では、「自穿孔型拡底式あと施工アンカー」を開発した。同社の自穿孔型拡底あと施工アンカーは、母材にドリルで穴をあけ、アンカーを差し込み、回転・打撃力により、アンカーの先端に埋め込まれたチップが拡底部を削孔しながら大きく拡張する仕組みになっている。そのため、しっかりと母材に固着する。引張試験機で引っ張ってもアンカーが伸びるか、破断しても外れないこれまでに無い固着機能を持っている。

 しかし、外す際には、ホルダーをセットし、インパクトドライバーを使って1分もかからず簡単に抜き取ることが出来る。自穿孔型で、簡単に抜き取れるあと施工アンカーは、国内では、初めての登場である。

 工事現場で働く人たちの課題を解消するような新製品、施工法を提案していることに加え、1960年、1970年代の高度成長時代に作られたインフラが老朽化しているために、同社の製品の需要はますます高まることが予想される。

■年商400億円を目指す

san1.jpg 11月29日に開催された決算説明会で洞下英人代表取締役社長は、「M&Aは、今後も増やしていきたい。事業環境の中で、柱が2つできると考えています。売上が200億円を超えるのは当たり前で、ファスニング事業で約200億円、機能事業で200億円となり、計400億円を目指しています。また、困っている会社をチーム化していきます。年商10億円、20億円クラスの会社の中で、後継者問題などで困っている会社が多くあります。そのような企業とコラボレーションしながら、仕事を増やしていくような仲間づくりをしていきたいと思っています。一番大事なのは、企業と企業が仲間づくりできるような企業になることだと思っています。そのため、ファスニング事業は、200億円くらいはできると思っています。ただ、あと施工アンカーだけだと270億円の市場ですので、現在のままでは無理ですが、これからは、土木で使われることが多くなり、市場拡大していきますので、当社としては、200億円規模まで伸ばしていくことが可能と見ています。」と今後の方針を語っている。

 通期連結業績予想については、第2四半期業績は好調に推移しているが、当初予想を据え置いている。

 ちなみに、20年3月期連結業績予想は、売上高183億円(前期比7.5%増)、営業利益13億90百万円(同5.5%増)、経常利益14億10百万円(同5.7%増)、純利益9億65百万円(同2.3%増)と増収増益を見込む。

 進捗率は、売上高47.7%(前年同期44.6%)、営業利益40.7%(同37.4%)、経常利益40.6%(同39.0%)、純利益37.5%(同35.7%)と前年同期をすべて上回る進捗であることから上振れも期待できる。

 配当に関しては2円増配の26円を予定している。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る