【編集長の視点】ヨコレイはシーズン・ストック人気を3期ぶりの過去最高純益が後押しして反発

 ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日2日に13円高の1080円と7営業日ぶりに反発して引け、11月8日につけた年初来高値1118円を射程圏に捉えた。歳末商戦入りとともにサーモン、ホタテ、エビ、イカなどの水産物を取り扱う同社の食品販売事業にシーズン・ストック人気が再燃しており、今2020年9月期の純利益が3期ぶりに過去最高を更新すると予想されていることも合わせて見直されている。株式需給的にも、売り長で逆日歩のつく信用好需給が続き、売り方のショートカバー期待も相乗している。

■サーモン、ホタテなどが好調で新規物流センターのフル稼働も続く

 同社は、冷蔵倉庫事業と食品販売事業を経営の二本柱としており、食品販売事業は、前2019年実績で売り上げが全体の79%、営業利益が21%を占めた。ノルウェーで養殖しているサーモンの欧米、国内への輸出のほかホタテ、エビ、サバ、ホッケ、イカなどの水産物、ポークやチキンの畜産物、馬鈴薯などの農産物を取り扱っており、12月入りとともに正月食材の需要期入りとなり水産物を中心に販売拡大、市況上昇期待を高めている。前期は、国内主要漁港の水揚げ不調や中国経済の停滞などの影響を受け、一部商材で売却損が発生したこともあり売り上げ、利益とも伸び悩んだが、今期は、引き続き養殖事業や海外販売の拡充などに注力し収益力を強化する。

 今2020年9月期業績は、売り上げ1430億円(前期比2.2%増)、営業利益54億円(同13.1%増)、経常利益60億円(同21.3%増)、純利益39億円(同15.2%増)と3期ぶりの増収増益転換が見込まれ、純利益も、2017年9月期の過去最高純利益33億6000万円を3期ぶりに更新する。冷蔵倉庫事業では、2018年2月新設の名港物流センター、同11月新設の東京羽田物流センターなどの新規物流センターのフル稼働が続き、食品販売事業の持ち直しが期待されることなどが要因となる。

 とくにこの新規物流センターについては、現在推進中の第6次中期経営計画の基づき積極的に増強投資を続けており、2018年12月着工のつくば物流センター(茨城県つくば市)、2019年6月着工の横浜みらいサテライト(神奈川県横浜市)、同6月着工の長崎ソーティングスポット(長崎県長崎市)、同8月着工のアイランド物流センター(福岡県福岡市)と続き、2021年1月竣工予定のアイランド物流センター以外は、来年2月~5月に竣工予定にあり業績寄与期待を高めている。

■PBRは0.8倍と割り負け逆日歩のつく信用好取組もフォロー

 株価は、前期期末配当の権利取りで1099円高値をつけ、権利落ち安値1008円から年初来高値1118円へ切り返し、前期業績の下方修正とともに1058円安値へ下ぶれたが、今期業績の増収増益転換予想で1110円まで持ち直し1000円大台固めを続けている。この高値もみ合い場面では再び信用売り残が増加に転じる一方で買い残が減少して信用倍率は0.23倍となって逆日歩がつく好需給となっている。投資採算的にも、PERは16倍台と市場平均をやや上回るが、PBRは0.80倍、配当利回りも2.12%と割り負けている。年初来高値抜けから次の上値フシ1227円(2017年12月)を更新し、1株純資産1336円のクリアが有力となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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