円安次第の展開、07年の124円なら日経平均1万8300円も=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

犬丸正寛の相場展望 来週の相場は1ドル・120円台に乗せた円相場の行方にかかっているといえる。選挙を控えていることから中小型銘柄中心の展開になるかとみられたが、急速な円安でトヨタ自動車など輸出関連中心に1部市場の主力銘柄が元気のよい展開となっている。トヨタは10月の5710円から2086円上昇し2007年以来の8000円に接近となっている。

円相場の1ドル・120円台は2007年5月以来7年半ぶりの円安水準で、日経平均よりひと足早くリーマンショック前水準に達した。この1ドル・120円に匹敵する日経平均の水準は2007年2月の1万8300円である。円高に反転することなく、このまま1ドル・120円水準が保持できれば日経平均の1万8300円が見込めるだろう。

一方、円安の裏側の「ドル高」視点ということでみれば、足元ではドル高の支えとなっている米国景気が腰折れする心配はなさそうだ。心配された欧州経済や日本経済の減速によるアメリカ景気への影響も今のところ軽いものとなっている。オバマ大統領の直近の演説を受ける形で欧州は金融の量的緩和へ進む方向にあるし日本は10月末に量的追加緩和を実施しオバマ大統領の景気刺激要請に応える姿勢である。

中期的には量的金融緩和政策を10月で終えたアメリカ景気が金融に頼らないで自力走行ができるかどうかがポイントだろう。このため、言われている政策金利の引き上げは欧州及び日本経済に回復の兆しが見られるまでは実施はしないものとみられる。

とくに、アメリカ以外の世界経済が停滞している間は、世界のマネーはアメリカに向かいドル高、株高が続くものとみていい。原油価格の大幅下落がこうした流れに拍車をかけているようだ。世界マネーが再びアメリカ以外の国に向かうのはもう少し先になるものとみられる。NYダウベース1株利益の頭打ち傾向が鮮明となるまではNYダウは強い展開が続くものと予想される。

とくに、アメリカの日本に対する期待は非常に強いのではないかと思われる。もちろん、同盟国という強力な結びつきはある。しかし、親戚関係同様、借金の依頼ばかりでは嫌になるが、日本は多額の財政赤字はあるが大半を国内で賄っている。それに、バイオ、ロボットなど技術もいい。バブル崩壊で沈滞した経済を再生することは十分に可能である。こうしたことから今度の選挙で日本再生を掲げる安倍政権にアメリカは期待しているものとみられる。

それを裏付けるように、4日には日経平均がNYダウに対し13ポイントまで差を縮めている。年初にはその差が300ポイントていど開いていた。NYダウが大きく上昇する中で日経平均が追い上げている姿である。日本への期待の強さの現われといえる。

もちろん、12月14日の選挙で安倍政権が大勝しなくても、ともかく負けないで勝つことが条件である。もしも負けると2年前の総理が次々と代わるデフレ暗黒時代に戻ってしまう心配があるからだ。

円相場については次のフシである2007年6月の124円まで行くかどうかが来週のポイントとなりそうだ。

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