インテリジェントウェイブは調整一巡、20年6月期増益予想

 インテリジェントウェイブ<4847>(東1)は、金融分野や情報セキュリティ分野を中心にシステムソリューション事業を展開している。20年6月期増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力

 大日本印刷<7912>の連結子会社である。ソフトウェア開発中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野中心にパッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システム分野を強みとしている。

 19年6月期の売上構成比は金融システムソリューション89%、プロダクトソリューション11%、営業利益構成比は金融システムソリューション97%、プロダクトソリューション3%だった。

 クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、下期の構成比が高い特性もある。

■事業領域拡大に向けて新製品・新サービスを強化

 金融システムソリューションでは、クレジットカード決済のフロント業務関連システムから、金融領域全般への事業領域拡大を目指し、クラウドサービスも強化している。また拡大するEC決済に対応して、複数のカード会社と次世代不正検知の実証実験を進めている。プロダクトソリューションでは、サイバー攻撃や情報漏えいに対応したセキュリティ関連のソリューションを強化している。

 クラウドサービスの19年6月末時点の導入社数は、OnCore SwitchのIGATESが12社、不正検知のIFINDSが3社、アクワイアリング業務のIOASISが4社となった。

 AI関連の新規開発案件では、SMBC日興証券「AI株価見守りサービス」に、CEP(Complex Event Processing)エンジンであるFES(Fast Event Streamer)が採用され、19年7月サービス開始した。

 19年8月には、あいおいニッセイ同和損害保険などと共同で、業界初のテレマティクス技術を活用した事故対応システム「テレマティクス損害サービスシステム」を開発した。

 中期事業計画では経営目標値として、22年6月期売上高120億円(金融システムソリューション106億円、プロダクトソリューション14億円)、営業利益12億円(営業利益率10.0%)を掲げている。サイバーセキュリティ総合プロバイダーを目指し、金融システムソリューションにおけるクラウドサービスは中期的に売上高14億円(19年6月期実績6億37百万円)を目指す。なお目標値には次の大型開発案件の候補や新規商材を織り込んでいない。

■20年6月期増益予想

 20年6月期の非連結業績予想は、売上高が19年6月期比1.5%増の106億円、営業利益が8.5%増の10億円、経常利益が9.1%増の10億40百万円、純利益が5.3%増の7億20百万円としている。配当は19年6月期と同額の9円(期末一括)である。

 金融システムソリューションは0.7%増収で7.9%増益、プロダクトソリューションは8.5%増収で29.0%増益の計画である。金融システムソリューションでは大型開発案件が減少するが、その他開発案件の増加でカバーする。クラウドサービスの売上高は8億円の計画としている。収益拡大を期待したい。

 第1四半期は、売上高が前年同期比3.4%増の24億17百万円で、営業利益が2.0倍の1億41百万円、経常利益が79.3%増の1億40百万円、そして純利益が89.6%増の91百万円だった。

 主力の金融システムソリューションは4.8%増収と堅調だった。大型開発案件が終了したが、その他のソフトウェア開発案件、ハードウェア、クラウドサービスが増加した。収益性改善も寄与して99.0%増益と利益が大幅伸長した。プロダクトソリューションは他社製品の販売が減少して12.2%減収だった。

 第1四半期の進捗率は通期予想に対して低水準だが、上期予想に対しては概ね順調である。下期の構成比が高い特性があり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価(19年3月27日付で東証2部から東証1部に市場変更)は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。12月4日の終値は750円、今期予想PER(会社予想EPS27円37銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想9円で算出)は約1.2%、前期実績PBR(前期実績BPS242円23銭で算出)は約3.1倍、時価総額は約198億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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