【どう見るこの相場】「掉尾の一振」は1日限定か?それとも第2・第3ラウンドがあるか?

どう見るこの相場

■重要イベントの風向きがアゲインストからフォローに一変

 「掉尾の一振」は、1日限定か?悩ましい週明けとなりそうだ。前週末13日は、日経平均株価が、今年最大の上げ幅で年初来高値を更新し、東証第1部の売買代金も、昨年12月21日以来の大商いとなり、すわ「掉尾の一振」として「八百屋の店先に並んでいるカブ以外のカブはすべてカイ」とばかりに色めき立った。

 これは12日に「クリスマスプレゼントとお年玉が一緒にやってきた」と大歓迎される相場環境が、サプライズ的に目の前に現れたことによるものだ。まずトランプ大統領が、米中貿易協議の「第1段階」に合意したと誇示して世界景気の後退懸念が一掃され、つれて半導体需要回復を後押しするとしてフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が最高値を更新し、米国の10年物国債利回りも、リスクオフがリスクオンに変わった債券売りで上昇し、さらに12日投票の英国議会選挙では、与党保守党の圧勝が伝えられ、英国のEU(欧州連合)からの「合意なき離脱」が回避される可能性を強まった。前週に控えていた重要イベントの風向きが、すべてアゲインストからフォローに一変したのである。

 ところがそこから地球を一周した13日の米国市場では、NYダウはわずか3ドル高の小幅続伸にとどまり、10年物国債利回りも下落(価格は上昇)した。リスクオンのはずがリスクオフに巻き戻されるとしたら、13日に飛び付き買いを敢行した投資家にとっては、高値で無事に売り抜けられるのか、ハシゴを外されるのではないかと急に心配が募る。当の米国市場では、米中貿易協議は、第一段階で合意され12月15日の制裁関税発動は回避されたものの、引き下げられた関税規模がそれほど大きくなく、年明け早々にも開始される第2段階の貿易協議の先行きも不透明と評価を下げてしまったようでもある。SOX指数も反落し、10年物国債利回りも、債券買いの復活で上昇してしまった。

 しかし、これは材料織り込み済みの利益確定売りが含まれているとすれば、定石通りの一服であり、また今年の年初から市場の重しとなっている2つの大きなリスクが当面、解消されたことには変わりはない。とすれば「掉尾の一振」は13日の1日限定に止まらず、大納会まであと半月、忙しいながらも第2ラウンド、第3ラウンドが期待されることになるはずだ。現に13日の米国市場では、iPhoneへの追加関税を見送られたアップルが買われた側面支援材料もある。

 「掉尾の一振」に第2ラウンド、第3ラウンドがあるとしたらどのような銘柄をターゲットとすべきか?引き続き3本足打法で打席に入ることを提案したい。ターゲットは、前週末は反落したが、なお高値水準にある米国のSOX関連株と長期金利上昇関連株をメーンに、万が一北朝鮮が暴発したときに備える地政学リスク関連株である。週明けは、アタックかディフェンスか迷うところだが、日経平均株価が反落してスタートするようなことがあれば、買い出遅れた投資家の買い出動や売り方の買い戻しも予想され、仕掛け好機と期待したい。

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