【木村隆のマーケット&銘柄観察】三井住友フィナンシャルグループは株主還元強化に期待

木村隆のマーケット&銘柄観察

三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東1)は、今3月期業績の上方修正がアナリストのコンセンサスになりつつある。今期の下期について会社側では税引き利益2204億円と、前年同期比33%もの減益を見込んでいる。

対ドルで10円の円安が年間の連結純利益を160億円押し上げると試算されるほか、与信費用は引き続き改善傾向の推移が見込まれ、会社の見通しはやや保守的。このため、会社側の増額修正純利益7000億円を上回る7500億円(前期8353億円)への増額が有力になっている。

今期からスタートした3年間の中期経営計画の最終年度、2017年3月期の純利益目標「8000億円程度」に対し、7500億円からは約7%の増益で達成できることになる。中計の目標達成が視野に入る水準で、過去の推移を踏まえても高水準の利益といえる。今後海外金融機関への出資や買収といったインオーガニック戦略(M&A戦略)による収益成長が、利益上振れの要因となる可能性は強い。

今期の配当について、今期初は1株当たり年間配当金の予想を前期と同額の120円としていたが、今回130円に増額。中期的には配当性向30%(今期会社予想は26.2%)を目指す方針を強調している。

三菱UFJ<8306>(東1)は上期決算と同時に1000億円の自己株取得、配当増額を発表。その後の株価は相対的に強含んでいる。同社でも配当予想の増額を発表したが、結果的にインパクトは薄れた形になってしまった。今、後自己株取得を含めた一段の株主還元強化策に期待が高まっている。(木村隆:日本証券新聞取締役編集局長を経て株式評論家)

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