カナモトは戻り試す、20年10月期減益予想だが保守的

 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。中期成長に向けた重点施策として国内営業基盤の拡充、海外展開、内部オペレーション最適化を推進する。20年10月期は体制強化の期間と位置付けて減益予想だが、やや保守的だろう。収益拡大を期待したい。株価は決算発表を機に急反落する場面があったが、目先的な売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■建設機械レンタル大手

 建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。

 18年8月建機レンタルのサンワ機械リース(北海道釧路市)を非連結子会社化、19年9月小松土木通商(石川県)を子会社化、19年10月子会社ユナイトが九州ロード(熊本県)を子会社化した。

 営業拠点は、19年8月京都営業所(京都市)、小田原機械センター(神奈川県)、北広島営業所(北海道)を開設し、全国営業拠点数202拠点、グループ合計509拠点となった。

 なお19年4月には豊和工業および朝日機材と共同で、作業所や工場等の作業員の作業負担軽減策として、床面の清掃作業を省力化する自律走行吸引型ロボット「AXキュイーン」を開発している。

 19年10月期の売上高構成比は建設関連事業89.6%、その他事業(鉄鋼関連事業、情報通信関連事業、福祉関連事業など)10.4%、営業利益構成比(連結調整前)は建設関連事業94.8%、その他事業5.2%だった。

 収益面では公共工事の影響を受けやすく、建設関連のため売上高が第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する季節特性がある。

■新中期経営計画で24年10月期営業利益230億円目標

 19年12月公表の新中期経営計画「Creative 60」では、目標値として24年10月期売上高2280億円、営業利益230億円、営業利益率10.1%などを掲げている。

 重点施策として、グループ総力を結集した国内営業基盤の拡充、海外展開とカナモト版グローバルプラットフォームの確立、内部オペレーション最適化とレンタルビジネスの収益性向上を推進する。

■20年10月期減益予想だが保守的

 19年10月期の連結業績は、売上高が18年10月期比7.4%増の1806億94百万円、営業利益が1.4%増の178億42百万円、経常利益が2.0%増の182億77百万円、純利益が3.6%減の114億30百万円だった。配当は5円増配の65円(第2四半期末25円、期末40円)とした。4期連続増配である。

 東京五輪関連の交通インフラ工事、主要都市での再開発工事、自然災害復旧や国土強靭化工事など、建機需要が高水準に推移して増収、重点施策推進に向けたコスト増を吸収して営業・経常増益だった。建設関連は7.5%増収で0.9%増益、その他は6.9%増収で7.9%増益だった。

 20年10月期連結業績予想は、売上高が19年10月期比1.1%増の1827億円、営業利益が9.8%減の161億円、経常利益が10.3%減の164億円、純利益が13.4%減の99億円としている。配当は19年10月期と同額の65円(第2四半期末25円、期末40円)としている。

 新中期経営計画「Creative 60」目標達成に向けた体制強化の期間と位置付けて、レンタル用資産の運用期間延長、人事制度改革による積極的な人財投資などを見込んでいるため減益予想だが、やや保守的だろう。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は決算発表を機に急反落する場面があったが、目先的な売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。12月18日の終値は2960円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS255円77銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想65円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2981円68銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約1147億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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