【編集長の視点】綿半HDは昨年来安値も子会社商号変更と店舗改装をテコに期日向かい妙味

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日7日に16の円安の1870円と3営業日続落して引け、連日の昨年来安値更新となった。昨年7月につけた昨年来高値2576円から6カ月目に入り高値期日売りに押され下値模索を続けた。ただ、昨年末に相次いで発表した連結子会社の商号変更とホームセンター業態の店舗のスーパーセンター化の移転リニューアルは、ネット通販とリアル店舗の強化につながる見込みであり、期日向かいの逆張り好機も示唆している。今2020年3月期業績の5期連続の過去最高更新、配当の5期連続増配も、株価底上げ材料として再評価されよう。

■商号変更でデジタルイノベーションを加速しリアル店舗の競争力も強化

 商号変更する子会社は、2018年12月に20億円強で株式を取得したアベルネット(東京都新宿区)で、今年4月に新商号を綿半ドットコムとする。同子会社は、インターネット通販の黎明期から家電・パソコンなどを販売する通販サイト「PCボンバー」を展開しており、蓄積したノウハウを綿半HDと共有するとともに、子会社化とともに新たにプロ向け建設資材の販売を開始して相乗効果を高めている。綿半HDの月次全店売上高は、このアベルネットがグループ入りとともに昨年12月以来、昨年11月まで12カ月連続で前年同月比プラスとなった。今回の商号変更で、グループ全体のデジタルイノベーションにより拍車を掛ける。

 一方、店舗を移転リニューアルオープンするのは、綿半ホームエイド中野店(長野県中野市)で、今年4月に移転するとともに、従来のホームセンター商材に加えて青果、肉、魚、総菜などの食品や日用品も取り扱うスーパーセンター業態に大きくリニューアルする。また同社は、昨年11月に綿半スーパーセンター豊科店(長野県安曇野市)に魚介類を生きた状態のまま加工・販売するいけすを設置、これを今年は全店に導入することを計画しており、店舗競争力の強化につながる。

 ベースとなる今2020年3月期業績も好調である。売り上げ1142億4500万円(前期比7.3%増)、営業利益26億7300万円(同13.0%増)、経常利益28億1100万円(同12.2%増)、純利益16億46000万円(同1.7%増)と見込み、5期連続で過去最高を更新する。アベルネット、丸三三原商店、サイエンスホームと続いたMAが即戦力として業績を押し上げ、継続強化しているチラシの削減や商品点数の絞り込みなどを中心とするEDLC(エブリデイ・ロー・コスト)戦略などが寄与する。今期配当も、年間34円(前期実績33円)と5期連続増配を予定している。

■高値期日売りは最終6カ月目に入りPER11倍の売られ過ぎ修正に再発進

 株価は、月次売上高の続伸で昨年来高値2576円をつけ、その後もサイエンスホームの連結子会社化で2287円、消費税増税前の駆け込み需要期待で2186円高値、台風被害の復旧・復興需要先取りで2126円高値とそれぞれ高値まで買われたが、市場の方向性がハイテク株買い・ディフェンシブ株売りを強めた影響を受けて利益確定売りに押され、ここにきて高値期日売りで昨年来安値追いとなった。この高値期日売りも、最終局面の6カ月目に入ってPERも11倍台と売られ過ぎとなっており、期日明けの先取り妙味を示唆している。まず昨年7月の昨年来高値2576円から前日取引時間中の昨年来安値1845円までの調整幅の3分の1戻しの2100円台奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る