【編集長の視点】メドレーは続落も初決算に期待を高めて直近IPO株買いが再燃余地

メドレー<4480>(東マ)は、前日に28円安の1221円と続落して引けた。同社株は、昨年12月12日に新規株式公開(IPO)され、この時につけた初値1270円を固める三角保ち合いを続けているものだが、この日の安値1210円は下ヒゲでつけており、下値には初決算として今年2月14日に発表を予定している12月期業績への期待を高め、直近IPO株買いが交錯した。目下集計中の前2019年12月期の純利益は、のれん減損損失の計上で赤字拡大が予想されているが、上ぶれ着地するとともに、続く今2020年12月期の純利益は、大幅黒字転換が観測されている。

■3Q利益は12月期通期予想を上回り今期純利益は黒字転換観測

 同社の前2019年12月期業績は、IPO時に売り上げ46億7700万円、営業利益8000万円、経常利益8200万円、純利益4億1400万円の赤字と予想された。連結決算が初作成となるため前々期比較はないが、前々2018年12月期の単独業績(売り上げ29億3300万円、営業利益1億円の赤字、経常利益8700万円の赤字、純利益1億5300万円の赤字)対比では、売り上げが大幅増収、営業利益・経常利益は黒字転換、純利益は赤字拡大となる。

 同社は、医療ヘルスケア分野のデジタル活用を推進するトップクラスの企業で、人材プラットフォーム事業では日本最大級の人材採用システム「ジョブメドレー」などにより顧客事業所数と従事者会員数が高成長し、医療プラットフォーム事業でも、クラウド診療システム「CLINICS」や患者予約管理システム「CLINICS予約」、ウラウド型の電子カルテ「CLINICSカルテ」の利用医療機関数が拡大していることが寄与する。

 IPO時に開示した2019年12月期第3四半期(2019年1月~9月期、3Q)業績は、売り上げ36億7500万円、営業利益4億2800万円、経常利益4億5800万円、純利益3800万円の赤字で着地しており、売り上げは12月期通期業績に対して78%の進捗率を示すとともに、営業利益、経常利益は通期予想を大幅に上回っており、上ぶれ期待を高めている。また12月期通期純利益は、赤字予想となっているが、2019年3月に完全子会社化した医事会計ソフトウェアなどを受託開発するNaClメディカルののれん減損損失を計上したことなどが要因で、これが一巡する今2020年12月期純利益の黒字転換観測につながっている。

■三角保ち合いが煮詰まり投資鉄則通りに「小さく産んで大きく育てる」展開へ

 株価は、1300円を公開価格にIPOされ、1270円で初値をつけ上場来高値1350円まで買い直されたが、IPO時の資金吸収額が大きく、業績も赤字予想にあることも響いて上場来安値1181円まで売られ、初値を中心とした三角保ち合いを続け、煮詰まり感を強めている。IPO株の投資鉄則の「小さく産んで大きく育てる」とする展開を期待し、公開価格や上場来高値を上抜き、上値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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