【編集長の視点】パンチ工業は反落も3Q決算発表を前に来期V字回復予想業績に期待して下げ渋り

 パンチ工業<6165>(東1)は、前日3日に7円安の475円と反落して引けた。新型肺炎の感染拡大で世界景気の減速懸念を強め、日経平均株価が、233円安と急反落し昨年11月以来の安値となったことから、同社株も一部手仕舞い売りに押された。ただ2営業日連続で陽線を形成するなど下げ渋る動きもみせており、今年2月13日に予定している今2020年3月期第3四半期(2019年4月~12月期、3Q)決算で、下方修正が続いた今期業績が悪材料出尽くしになるとの期待から下げ過ぎ訂正買いが交錯した。このほか手掛かり材料としては、今期業績より来2021年3月期業績のV字回復予想を先取りし、テクニカル的にも、2017年12月につけた上場来高値2835円からその後の株式分割を勘案して「半値八掛け二割引き」の水準で底値形成を示唆していることも意識されている。

■来期営業利益は中期経営計画効果で今期予想比7.3倍増益

 同社の今2020年3月期業績は、昨年8月、11月と下方修正され売り上げ354億円(前期比13.5%減)、営業利益4億500万円(同82.5%減)、経常利益3億5000万円(同86.3%減)、純利益5000万円(同94.8%減)と予想されている。米中貿易摩擦の激化・長期化で市況が悪化し、中国向け自動車関連や電子部品・半導体関連を中心に受注が減少し、これに伴って工場操業率が落ち込んで原価率がアップすることが要因となった。このため3Q業績も、この下方修正ペースの着地となるとみられている。

 ただこの逆風の事業環境下、同社は、2016年4月から中期経営計画「バリュークリエーション2020Plus」を推進し、販売5極体制の確立、高収益事業の推進などに加えて営業力の強化、グローバル生産体制の最適化、R&Dの強化を図っている。このため来2021年3月期の経営目標は、売り上げ470億円以上、営業利益33億円以上、純利益23億円以上と設定している。今期の連続減収減益業績から営業利益は7.3倍とV字回復することになる。今期3Q決算発表時には、今期の不調業績は織り込み済みとして来期業績の先取りを強めると期待されている。

■最高値の「半値八掛け二割引き」水準でPBRは0.6倍と底値示唆

 株価は、米中貿易摩擦激化が響いてつけた昨年8月の昨年来安値425円から売られ過ぎとして底上げ、昨年11月の業績再下方修正では織り込み済みとして612円までリバウンドし、足元では新型肺炎の感染拡大による中国経済への影響を懸念して400円台へ下値を探った。ただテクニカル的にこの株価水準は、上場来高値2835円からその後の株式分割(1株を2株に分割)を勘案すると底値示唆とされる「半値八掛け二割引き」に該当する。また足元のローソク足も、大陰線のあと陽線を連続し上昇期待を高める上げの差し込み線を形成した。投資採算的にも、PER評価は割高なものの、PBRは0.65倍と陰の極となっている。全般相場より早めに調整に入っていた分だけ逆行的に底上げに再発進し、今年1月高値528円抜けから昨年4月の昨年来高値709円奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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