【編集長の視点】レオクランは上場来安値から続伸、減収減益予想業績売りが一巡し下げ過ぎ訂正

 レオクラン<7681>(東2)は、前日5日に23円高の2804円と続伸して引け、今年2月3日につけた上場来安値2685円から底上げした。同社株は、今年2月14日に今2020年9月期第1四半期(2019年10月~12月期、1Q)決算の発表を予定しているが、これを前に今9月期通期業績の減収益予想は織り込み済みとして下げ過ぎ訂正買いが増勢となった。上場来安値は、昨年10月2日の新規株式公開(IPO)時の公開価格2700円に並ぶ株価水準であり、IPO時には3日連続のストップ高を交えて上場来高値5630円まで買い進まれており、底値の打診買いから急騰再現期待も強めている。

■今期は端境期も年間100件の新増改築案件が発生する事業環境は良好

 同社の今2020年9月期業績は、前期業績がIPO時予想を上ぶれ過去最高を更新したのに対して、売り上げ260億4400万円(前期比27.9%減)、営業利益6億6500万円(同44.1%増)、経常利益6億6400万円(同43.9%減)、純利益4億4600万円(同39.1%減)と2ケタの減収減益転換が予想されている。病院施設の設計・建設・増改築、医療機器の導入、開院、運用などを一括受注するメディカルトータルソリューション事業で、前期業績を押し上げた大型案件が減少し、売り上げが、前期の351億円(前々期比41.7%増)から250億4500万円に減収転換し、営業利益も、前期の10億6800万円(同93.8%増)から6億6500万円と減益転換すると見込んでいることなどが要因となる。

 しかし事業環境そのものは、国の医療制度改革に沿って各都道府県で進められている「地域医療構想」により病院の統合・再編が継続されているなど良好である。病床変更や大型施設の建築、さらに稼働年数が20年を超している3分の2以上の一般病院の新増改築需要が潜在しており、同社は、今期は端境期となるものの年間100件程度の新増改築案件が発生すると見込んでいる。このため、今期配当は、減収減益転換を予想しているにもかかわらず年間45円(前期実績40円)へ増配を予定している。今期1Q業績の着地がどうなるか要注目で、減収減益予想業績は織り込み済みとなる展開も期待されている。

■公開価格割れでダメ押しをしてPER12倍の割り負修正で底上げ

 株価は、昨年10月の上場来高値5630円から一貫して下値を模索する動きを続け、昨年12月安値2891円からは、今期業績予想は織り込み済み、売られ過ぎとして3640円までリバウンドしたが、新型肺炎の感染拡大による世界株安が波及して再調整、上場来安値まで売られた。今期予想業績ベースでもPERは12倍台と割り負け、公開価格2700円割れでダメ押しを示唆しており、直近の戻り高値3640円を意識しつつ底上げトレンドが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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