【特集】「不思議な株安」銘柄をセレクト、防疫関連株も見直し余地

銘柄 上がる 上昇 高い ストップ高
特集

 勝負哲学を敷衍すれば株価の高安も同様で、ラッキーでたまたま株高になる「不思議な株高」があるが、株安は、それだけの悪材料があって売り込まれた結果であり、「不思議な株安」はないことになる。しかし株安銘柄のなかには、売り材料が不確かだったり、その材料でそこまで売り込むのかという銘柄がないこともない。「不思議な株安」銘柄となる。東証1部の1月の月間値下がり率ランキングの50位までにランクされた銘柄から資格条件十分な「不思議な株安」銘柄をセレクトすることも、大いに期待が持てることになるはずだ。2月第1週の「不思議な株安」銘柄とともにリサーチした。

■先例2例を追ってバリュー株を中心に候補株資格

 東証第1部の今年1月の「不思議な株安」銘柄は、低PER株に限定して下落率の大きい順に列挙すると、ベネフィットジャパン<3934>(東1)ハニーズホールディングス<2792>(東1)トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)エノモト<6928>(東1)BEENOS<3328>(東1)などとなる。このうちハニーズHDは、今年1月早々に今5月期業績を上方修正しており、にもかかわらず月間下落率ランキングの第11位と売られており、暖冬関連のアパレル業態が嫌われたうえに、全般の急落相場に巻き込まれての大幅急落となったと推定される。残りの4銘柄も、業績が上ぶれ傾向で推移し実態面に問題がなく、低PER放置のババリュー株である点も共通している。

 このほか今年2月に入って今3月期業績の2回目の上方修正と2回目の増配を発表した大平洋金属<5541>(東1)や今期業績を上方修正して減益転換率を縮小させたテイクアンドギヴ・ニーズ<4331>(東1)も、「不思議な株安」銘柄として一段の戻りを試そう。

■ストップ安銘柄、防疫関連株も「谷」の深さの瀬踏み次第で見直し余地

 次は、2月第1週の「谷深し」銘柄である。まず今年2月4日にストップ安し2月第1週の東証第1部週間値下がり率ランキングの第2位と売られたいであ<9768>(東1)を俎上に載せたい。確かに前日3日に発表した2019年12月期業績は、昨年11月の上方修正値をやや下ぶれて着地したが、連続2ケタ増益に変わりはなく、今12月期業績も続伸予想にあることからすれば、ストップ安は売られ過ぎで「谷深ければ山高し」のリバウンド余地を示唆しているようにみえる。このほか今3月期業績を上方修正した明治海運<9115>(東1)、今期3Q業績が増益をキープした日本精化<4362>(東1)DTS<9682>(東1)アイティフォー<4743>(東1)アートネイチャー<7823>(東1)などが、今年1月につけた昨年来高値から週間値下がり率ワースト50位に売られる理由は見当たらず、低PER・PBR修正からも戻りにアタックする可能性が強まる。

 また、2月第1週の「谷深し」銘柄としては、冒頭で触れた川本産業や東証第1部の値下がり率トップの日本エアーテック<6291>(東1)に代表される防疫関連株を外すわけにはいかない。コロナウイルスの分離・培養の成功、優良な治療法の発見、ワクチン開発の進展などが伝えられれば、不安心理は後退し、パンデミック(感染爆発)リスクまで織り込みヒートアップした株価が、急速凍結となるのは致し方のないところだろう。ただこの新型肺炎はなお日々、中国で感染者と死者が増加し、感染拡大を封じ込められるのかまだ見通し難い。また国内での感染者も、横浜港に接岸中の大型クルーズ船の乗客・乗員が集団感染、検査進行のたびに感染者増加が確認されている。こんな悲劇を想像するとバッシングされるのは間違いないが、それを覚悟して仮に国内で日本人の感染死が発生すると想定したら、それこそドラッグストアの店頭からマスクや除菌剤が姿を消すどころのパニックにはとどまらないだろう。墜落途上の防疫関連株の株価の山頂から千尋の谷を覗くと足がすくみ膝の震えが止まらなくなるが、ここは谷の深さを読み取る瀬踏みも必要かもしれない。

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