メディカル・データ・ビジョンが今期末に初の配当を表明、業績は今期も連続最高益の見込み

■自社株買いも発表、優待はやめるが株主還元さらに拡充の原資を用意

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)が2月10日発表した前期・2019年12月期の連結決算は、引き続きアドホック調査サービス(同社保有の大規模診療データベースを活用した製薬会社向けなどの調査・分析サービス)の好調推移などにより、売上高が前期比12.5%増加して40.26億円と連続最高を更新した。

■医療データ利活用サービスなど好調、重点子会社は続々黒字化

 利益面では、不採算子会社の早期整理を行い、重点子会社については黒字化をほぼ達成できたことなどにより、経常利益は同2.3倍の8.04億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同約8倍の5.54億円と2期ぶりに最高を更新した。

 戦略事業として取り組む『CADA-BOX(カーダ・ボックス)』については「導入数という目標は未達だったが、大きな機能の一つであるリアルタイム診療データの集積という点ではかなり寄与し始めてきた」(岩崎博之社長)。

■一段の株主還元の原資として資本準備金の一部を振り替える

 こうした推移を受け、今期・20年12月期の期末に創業来初の配当(1株につき3円)を実施するとともに、これまで行ってきた株主優待は廃止し、自己株式の取得(自社株買い:2月12日から9月30日まで)も実施するとした。さらに、今後一段の株主還元の原資を確保するため、資本準備金の一部を「その他資本剰余金」に振り替えるとした。

■大規模診療データベースは今年1月ついに3000万人に達す

 「データ利活用サービス」では、同社が保有する大規模診療データベースが19年12月末現在で実患者数にして2984万人に達し、20年1月末には3015万人となり、遂に三千万人の大台に乗った。国民4人に1人に相当するビッグデータになる。また、「データネットワークサービス」の戦略事業になる「CADA-BOX」の導入などによるリアルタイムの診療データベースは、19年12月末現在で80万人規模に拡大した。

■「CADA-BOX」はリアルタイムの診療データ集積に寄与開始

 「CADA-BOX」の19年12月期の受注は4医療機関。受注から稼働までに時間を要するため、提供開始から累計の稼働済み件数は7医療機関(前期比2医療機関の増加)となった。それでも、リアルタイム診療データベースは、ここ数年で80万人規模になり、今期・20年12月期は120万人規模への拡大を見込むとした。

 今期の見通しは、「データ利活用サービス」の売上高を2856億円(前期比13.7%増加)、「データネットワークサービス」の売上高を1943億円(同28.3%の増加)と見込む。また、重点子会社のひとつで、データを活用した治験事業などを行う「Trial(トライアル)」社は前期で19年12月期に黒字化を達成し、さらなる拡大をめざす。動画による医師向けの医療情報の提供などを行う「Doctorbook(ドクターブック)」社は19年8月以降、単月で黒字化しておおり、今期は通年での黒字定着を目指す。

 今期の連結業績見通しは、売上高を48億円(前期比19.2%の増加)とし、経常利益は9億円(同11.9%の増加)、親会社株主に帰属する純利益は6億円(同8.2%の増加)。予想1株利益は14円99銭とした。売上高、各利益とも続けて最高を更新することになる。(HC)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る