クレスコは上値試す、20年3月期3Q累計順調で通期上振れ余地

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。20年3月期増収増益予想である。第3四半期累計は2桁増収増益と順調だった。通期上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 19年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野30%、公共・サービス分野24%、流通・その他分野28%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野7%、情報家電等・その他分野10%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業74%、組込型ソフトウェア開発事業26%、その他0%だった。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。

 なお配当方針は変更し、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。20年3月期中間配当から適用した。

■質的・量的成長目指す

 中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 19年3月には医療画像解析ソフトウェアが、ニデックの画像ファイリングソフトウェアNAVIS-EXに採用された。19年5月にはソフトバンクが運営するAIエコシステムプログラムにおいて、パートナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。19年10月にはクレスコベトナムがオフショア開発の中核として稼働した。19年11月にはアマゾンのAWSパートナー制度で、AWS Well―Architectedパートナープログラム認定を取得した。

 2月12日には、ザイマックス、からくさホテルズと共同で、チェックイン時の部屋割り業務の自動化システムを開発したと発表している。

■20年3月期3Q累計順調で通期上振れ余地

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比7.5%増の378億80百万円、営業利益が6.0%増の34億円、経常利益が4.2%増の38億13百万円、純利益が5.7%増の24億16百万円としている。配当予想は2月1日付株式2分割換算後で、19年3月期比3円増配の年間36円(第2四半期末18円、期末18円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.1%増の289億57百万円、営業利益が14.6%増の26億53百万円、経常利益が18.4%増の31億41百万円、純利益が19.7%増の20億03百万円だった。

 ソフトウェア開発は金融関連が減少したが、公共サービスの増加や流通・その他の子会社における受注拡大などで12.2%増収、14.0%増益だった。組込型ソフトウェア開発はカーエレクトロニクスのインフォティメント系を中心に11.7%増収、13.5%増益と好調に推移した。

 通期も受注が高水準に推移して増収増益予想である。品質管理強化と生産性向上を軸に足固めしつつ、成長に弾みをつける時期と位置付けている。第3四半期累計の進捗率は売上高76.4%、営業利益78.0%と順調である。通期上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価(20年2月1日付で株式2分割)は切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。2月13日の終値は1908円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS114円28銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想36円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS737円54銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約458億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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