Jトラストは300億円規模の営業赤字を1年で埋め戻し黒字化

■巨額赤字を計上したインドネシア事業は再建進み株式取引再開

Jトラスト<8508>(東2)の2019年12月期の連結業績(IFRS基準)は、営業利益が2.87億円となり、18年12月末の297億円の赤字から約299億円も利益が増加し、劇的な黒字転換となった。

前連結会計年度は、東南アジア事業の再構築(主にインドネシア)を目的として多額の貸倒引当金を計上。Jトラスト銀行インドネシアにおいて不良債権を一括処理した。このため前の期は大幅な赤字を計上したが、1年にわたり事業基盤の整備を進めた。

■決算期変更に伴う9ヵ月決算だったが最終損益も大幅に改善

19年12月期は、決算期変更に伴う経過期間となり、19年4月から12月までの9ヵ月決算だった。このため、売上高に相当する営業収益は581.05億円となり、19年3月期の749.35億円に比べて22%減った。だが、営業利益は19年3月期の326億円の赤字から黒字転換し、親会社の所有者に帰属する当期利益は同361億円の赤字から32.5億円の赤字へと大幅に改善した。

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■日本金融事業はクラウドファンディングの保証など多角化進む

日本金融事業は(株)日本保証、パルティール債権回収(株)、Jトラストカード(株)が中核になる。日本保証は19年5月から債務保証を組み込んだファンドを共同組成し、クラウドファンディングを活用した信用保証業務も開始した。12月にはトモニホールディングス<8600>(東1)傘下の(株)香川銀行と海外不動産担保ローンに対する保証の取扱いも開始した。保証商品の多角化に加え、優良な保証資産からの安定的な収入が漸増し、おおむね計画通りの利益を計上した。

■韓国及びモンゴル金融事業はAIによる審査が奏功、アセットも増加

韓国及びモンゴル金融事業は、JT親愛貯蓄銀行(株)、JT貯蓄銀行(株)、JTキャピタル(株)などが中核。企業向け有担保融資などの拡大により優良な債権が増加し、貸倒引当金の減少につながった。また、消費者向け無担保融資はAIによる審査システムが機能し、アセット拡大につながった。不良債権の回収・買取事業では大口の売却益を計上した。

東南アジア金融事業は、2018年9月に一括して引当金処理を行ったインドネシア事業の再建を進める一方、18年10月に連結子会社化したJトラスト・オリンピンド・マルチ・ファイナンスは着実に残高を増加させている。また、カンボジアでは、ANZ(オーストラリア/ニュージーランド銀行)グループから連結子会社化したJトラストロイヤル銀行が19年8月にグループ入りし、利益に貢献した。

■今期は事業税の増加を見込むが営業黒字は一段拡大を想定

今期・20年12月期は、売上高に相当する営業収益を865.11億円と計画し、営業利益は16.81億円の黒字を想定、親会社の所有者に帰属する当期利益は16.57億円の赤字と想定する。前期が9ヵ月決算だったため増減率の比較はできないが、純利益の赤字見通しは主に黒字化に伴う事業税の増加を想定したものとした。

再建中のJトラスト銀行インドネシアについては、構造改善や財務の健全化などが進み、20年1月8日からインドネシア証券取引所で株式取引が再開された。これにより、再生を広くアピールできるとともに、信用度の向上も見込まれ、事業上の収益力の向上にもつながる見通しだ。

同行では、これまで不良債権の処理に伴い、銀行業における貸出金残高が減少してきたが、今後は、オリンピンド・マルチ・ファイナンスとのジョイントファイナンスを中心に貸出を増加していく計画だ。

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