加賀電子は調整一巡、20年3月期は上方修正して2桁営業増益予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。20年3月期第3四半期累計は大幅営業増益だった。通期は上方修正し、従来の営業減益予想から一転して2桁営業増益予想となった。収益拡大を期待したい。株価は12月の昨年来高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 なお20年3月期からセグメント区分を、電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とした。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25~35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化予定である。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。20年1月には動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業を展開するCMerTVに資本参加した。

■20年3月期は上方修正して営業増益予想

 20年3月期連結業績予想(2月6日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益据え置き)は、売上高が19年3月期比51.0%増の4420億円、営業利益が18.9%増の億円、経常利益が14.5%増の90億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 従来の営業減益予想から一転して2桁営業増益予想となった。電子部品事業の売上高が車載向けを中心に好調に推移して想定を上回る見込みとなり、利益面では人員減に伴う人件費の減少や経費抑制も寄与する。なお構造改革関連費用を特別損失に見込んでいるため、純利益は据え置いた。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比95.0%増の3388億01百万円、営業利益が34.5%増の77億32百万円、経常利益が32.9%増の79億75百万円、純利益が1.0%増の49億24百万円だった。情報機器事業やソフトウェア事業は低調だったが、主力の電子部品事業が2.4倍増収、69.8%増益となり、全体を牽引した。EMSビジネスが医療機器・車載関連を中心に順調に推移し、部品販売では富士通エレクトロニクスによる新たな収益も寄与した。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.7%、営業利益が85.9%となる。第4四半期は新型肺炎感染拡大による影響が警戒されるが、通期利益再上振れ余地もありそうだ。収益拡大を期待したい。なお20年4月にエクセルを完全子会社化することに伴い、21年3月期に特別利益(負ののれん発生益)約82億円を計上見込みである。

■株価は調整一巡

 株価は12月の昨年来高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。2月19日の終値は2281円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約655億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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