アイリッジは調整一巡、20年3月期収益改善期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

アイリッジ<3917>(東マ)は、O2O・OMOソリューションをベースとして、電子地域通貨やライフデザインにも事業領域拡大戦略を推進している。20年3月期第3四半期累計は赤字だったが、通期ベースで収益改善を期待したい。株価は地合い悪も影響して安値圏に回帰したが、調整一巡して反発を期待したい。

■O2O・OMOソリューションをベースに事業領域拡大

 企業向けにO2O(Online to Offline)やOMO(Online Merges with Offline)を支援するO2O・OMOソリューションをベースとして、フィンテック(電子地域通貨)領域やライフデザイン領域にも事業領域拡大戦略を推進している。

 18年5月デジタルガレージ<4819>と資本業務提携、18年8月デジタルガレージからセールスプロモーションのDGマーケティングデザインの株式80%取得して連結子会社化、19年10月システム受託開発のキースミスワールドを吸収合併した。

 20年3月期第3四半期累計のサービス別売上高構成比は、月額報酬(FANSHIPのサービス利用料、アプリのシステム保守料等)が15%、アプリ開発・コンサル・プロモーション等(アプリ企画・開発に伴う収入、アプリマーケティングに伴う収入、広告・販売プロモーションに伴う収入)が85%だった。

■O2O・OMOソリューションはFANSHIPが主力

 O2O・OMOソリューションは、ファン育成プラットフォーム(顧客データ分析プラットフォーム)FANSHIPが主力である。従来のスマホ向け位置情報連動型O2Oソリューションpopinfoを19年7月ブランドリニューアルした、利用ユーザー数(ID発行数)は19年12月末時点で1億7844万となった。利用ユーザー数に応じた従量課金型月額報酬の積み上げによるストック収益となる。成長戦略として、FANSHIPの機能強化によるストック収益拡大を推進する。

 さらに子会社DGマーケティングデザインとの連携によって、デジタル・フィジカルマーケティング領域に展開する。オンライン・オフライン双方において、広告~購買~決済~SRMまで消費者の行動プロセス全てをカバーするトータルソリューションを推進する。

■電子地域通貨も展開加速

 フィンテック領域(電子地域通貨)は、18年8月設立の子会社フィノバレーが、電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」をベースとして事業展開を加速している。

 19年9月にはeumo、ポケットマルシェ、IKEUCHI ORGANICと共同で電子地域通貨「eumo」の実証実験を開始した。電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」が採用された。また19年9月開催された「J-Coin Payビジネスコンテスト2019」で最優秀賞を受賞した。今後「J-Coin Pay」を活用した新サービスの実現に向けて、みずほフィナンシャルグループ等との協業の検討を進める。

■ライフデザインなど新規事業も育成

 ライフデザイン領域の新規事業では18年8月、デジタルガレージの子会社で分譲マンションのチラシ制作など、不動産マーケティング大手のDGコミュニケーションズの株式14%を取得した。従来は流通・小売・鉄道・金融分野が主力だったO2Oソリューションを、DGコミュニケーションズと連携して、不動産・住まい・街づくりなどライフデザイン領域にも展開する。

 また18年9月にはAIスピーカー向けアプリ開発プラットフォームNOIDを提供開始している。プログラミング不要で簡単にスマートスピーカーアプリが作れるクラウドサービスである。

■20年3月期は通期ベースで収益改善期待

 20年3月期連結業績予想(19年3月期は決算期変更で8ヶ月決算)は、売上高が55億円、営業利益が2億50百万円、経常利益が2億50百万円、純利益が1億20百万円としている。

 開発体制強化による生産性向上と内製割合上昇、高付加価値案件への取り組み拡大による粗利率改善、ストック型ソリューションの展開・開発強化、販管費の適正化などを推進する。

 第3四半期累計は、売上高が38億31百万円、営業利益が47百万円の赤字だった。ただし四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億88百万円で営業利益が1億75百万円の赤字、第2四半期は売上高が16億38百万円で営業利益98百万円の黒字、第3四半期は売上高が14億04百万円で営業利益が29百万円の黒字だった。第3四半期は一部の大型案件が第4四半期に期ズレとなったが、販管費の抑制で2四半期連続営業黒字だった。

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は低水準の形だが、第4四半期偏重の売上・利益計画である。低粗利案件の影響が第2四半期までにほぼ解消しており、通期ベースで収益改善を期待したい。

■ストック型ソリューションを拡大

 今後の重点取り組みとしては、開発体制強化・高付加価値案件拡大による粗利率改善、FANSHIPを軸としたストック型ソリューションの拡大、グループシナジー拡大と新規事業・サービスの強化などを推進する。

 中期経営計画の目標値としては、22年3月期売上高70億円、営業利益5億円、EBITDA7億50百万円を掲げている。中長期的に収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪も影響して安値圏に回帰したが、調整一巡して反発を期待したい。2月26日の終値は938円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS18円19銭で算出)は約52倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS385円29銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約63億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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