【アナリスト水田雅展の銘柄分析】三洋貿易は15年9月期利益・配当予想の増額を好感、依然として指標面に割安感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 三洋貿易<3176>(東1)は自動車関連向けのゴム・化学関連商品などを扱う専門商社である。4月27日に15年9月期第2四半期累計および通期の利益予想の増額修正、そして配当予想の増額修正を発表した。株価は急伸して14年8月高値に接近している。指標面には依然として割安感が強く、好業績を評価して上値を試す展開だろう。なお5月11日に第2四半期累計の業績発表を予定している。

 ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に事業展開する専門商社である。メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面で実質無借金経営であることも特徴だ。海外は米国、メキシコ、タイ、中国(上海、香港)、インド、ベトナム、インドネシアに展開している。

 主力の自動車関連向けは、各種合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサーなど)といった高付加価値品を中心に展開している。

 飼料・エネルギー・リサイクル関連では飼料や固定燃料などを製造するペレットミルが高シェアだ。国内子会社のコスモス商事は地熱・海洋資源開発関連分野で掘削用機材の輸入販売・レンタルを手掛けている。

 なお15年3月には、エレクトロニクス関連商品卸売の連結子会社アロマンの全株式をタクミ商事に譲渡した。グループとして重点志向する事業領域への経営資源集中を進める方針だ。

 4月27日に今期(15年9月期)連結業績の利益予想および配当予想の増額修正を発表した。

 第2四半期累計(10月~3月)の連結業績については前回予想(11月6日公表)に対して、売上高は据え置いて前年同期比3.4%増の310億円、営業利益は2億円増額して同13.6%増の20億円、経常利益は2億90百万円増額して同13.6%増の21億90百万円、純利益は4億円増額して同35.3%増の15億円とした。

 通期の連結業績見通しについては前回予想(11月6日公表)に対して、売上高は据え置いて前期比5.8%増の620億円、営業利益は4億円増額して同16.4%増の37億円、経常利益は3億円増額して同10.9%増の39億円、純利益は6億50百万円増額して同38.7%増の27億50百万円とした。

 配当予想は連結配当性向25%を下限の目途として、前回予想(11月6日公表)に11円増額して年間48円(第2四半期末24円、期末24円)とした。前期との比較では14円増配となる。

 第2四半期累計はゴム関連商材や自動車用部品が好調に推移し、純利益はアロマンの株式譲渡(15年3月)に伴って法人税負担額が減少することも寄与したようだ。また下半期についても堅調に推移する見込みとして、通期利益予想も増額修正した。

 なお期初時点における通期ベースのセグメント別売上高の計画は、ゴム・化学品が同4.5%増の252億円、機械資材が同7.4%増の169億円、海外現地法人が同8.3%増の136億50百万円、国内子会社が同1.7%増の60億50百万円、その他が同14.5%減の2億円である。

 自動車関連の合成ゴム商材や自動車シート用部品など、高付加価値の主力商材が国内外で好調に推移しているため、通期見通しは再増額の可能性もあるだろう。

 中期成長に向けた戦略として、新規ビジネスのグリーンイノベーション領域(地熱発電・海洋資源開発・CO2地中貯留、木質バイオマス加工・ガス化熱電併給装置、太陽電池部材などの環境・資源エネルギー関連分野)の強化、ライフイノベーション領域(医薬中間体・原体、食品・バイオ関連向け各種分析機器、医療関連原材料などの生活関連分野)の強化、ASEAN地域や北中米地域などグローバル展開の強化、そしてM&A・アライアンス戦略の推進を掲げている。

 中期目標数値として掲げていた15年9月期の売上高610億円、営業利益30億円のうち、営業利益目標は14年9月期に達成している。中期的にも収益は拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、15年9月期の利益および配当予想の増額修正を好感し、4月24日終値1362円から4月30日の1545円まで急伸した。その後も1500円近辺で推移して14年8月高値1579円に接近している。

 5月7日の終値1508円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS192円26銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は3.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1148円88銭で算出)は1.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると窓を空けて急伸したため目先的にはやや過熱感もあるが、週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返して強基調を確認した形だ。指標面には依然として割安感が強く、14年8月高値1579円を試す展開だろう。

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