【アナリスト水田雅展の銘柄分析】FPGは中期成長力を評価して9月の戻り高値試す、10月30日に14年9月期決算発表予定

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 タックス・リース・アレンジメント事業を主力にワンストップ型ファイナンシャルサービス業を展開するFPG<7148>(東1)の株価は、9月の戻り高値1098円から利益確定売りや全般地合い悪化の影響で10月16日の875円まで調整した。ただし6月安値859円を割り込むことなく、足元では960円台まで戻す場面があり調整一巡感を強めている。中期成長力を評価して9月の戻り高値を試す展開だろう。なお10月30日に前期(14年9月期)の決算発表を予定している。

 子会社(特別目的会社SPC)が運営するオペレーティング・リース事業の組成・販売・管理などを行うタックス・リース・アレンジメント事業を主力として、保険事業(保険仲立人)、M&Aアドバイザリー事業、プライベートバンキング事業、不動産関連事業なども展開している。

 タックス・リース・アレンジメント事業は、航空機・船舶・海上輸送用コンテナなど大型輸送設備を主対象としてリース組成し、出資金販売に伴うSPCからの手数料収入を収益柱としている。販売ネットワークの開拓を積極的に進め、14年6月末時点で会計事務所1723、地銀等65行、証券会社14社と提携している。13年11月には独立系の大手航空機リースマネジメント会社であるアメンタム社(アイルランド)の株式25%を取得して資本業務提携し、航空機リース組成事業を強化した。

 なお当社の収益構造については、顧客(投資家)がリース事業に出資するか否かの意思決定を顧客自身の業績動向が判明する決算月近くに行う傾向があるため、当社の売上高も第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の構成比が高くなる傾向が強いとしている。

 また10年9月JASDAQ市場上場、11年10月東証2部市場へ市場変更、12年10月東証1部市場へ指定替えによる信用力向上、公募増資や利益積み上げによる財務体質強化、提携会計事務所・金融機関の積極開拓などで、金融機関からの資金調達力、リース事業の案件組成能力、販売提携先からの紹介を含めた出資金販売力が大幅に強化されている。10月8日には日本格付研究所(JCR)から新規に格付を取得した。第三者機関から客観的な評価を得ることで、経営の透明性や財務の健全性を高めるとともに、資金調達手段の多様化・安定化を図るとしている。

 中期戦略としてはM&Aを積極活用し、高収益オーナー企業や富裕層などの顧客(投資家)に対して多様な金融商品・サービスを提供するワンストップ型ファイナンシャルサービス業を目指している。

 13年3月にフィンテックグローバル証券(現FPG証券)を子会社化して証券業、13年6月に子会社FPGリアルエステートを設立して不動産関連事業、14年4月に第一投資顧問(現FPG投資顧問)を子会社化して投資顧問業に進出した。

 10月6日にはベルニナ信託(東京都港区)の全株式を取得して子会社化(株式取得日および事業開始日は10月または11月中)し、新規事業として信託業に進出すると発表した。ベルニナ信託は信託業法に基づく運用型信託会社の免許を有している。また10月23日には千葉興業銀行<8337>との間で取引先企業のM&Aに関する連携を目的として、M&Aアドバイザリー業務に関するビジネスマッチング契約を締結したと発表している。

 前期(14年9月期)の連結業績見通し(9月8日に3回目の増額修正)は売上高が前々期比51.4%増の60億75百万円、営業利益が同60.8%増の33億51百万円、経常利益が同58.8%増の31億14百万円、純利益が同59.4%増の18億89百万円としている。配当予想(7月30日に増額修正)は年間20円50銭(期末一括)で、13年6月1日付の株式3分割を考慮すると前々期に比べて実質的に4円16銭増配となる。

 信用力向上に伴って全国の会計事務所や金融機関からの顧客紹介が一段と増加傾向であり、顧客からの強い投資需要も背景として出資金販売額が高水準に推移している。今期(15年9月期)も主力のタックス・リース・アレンジメント事業が牽引して好業績が期待される。さらに中期的にも、ワンストップ型ファイナンシャルサービスの事業展開で収益は拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、前期業績見通し3回目の増額修正を好感した9月11日の戻り高値1098円から、利益確定売りや全般地合い悪化の影響で10月16日の875円まで調整した。ただし足元では960円台まで戻す場面があり調整一巡感を強めている。

 10月24日の終値932円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS68円60銭で算出)は13~14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間20円50銭で算出)は2.2%近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を一旦割り込んだが、6月安値859円を割り込むことなく切り返しの動きを強めている。中期成長力を評価して9月の戻り高値1098円を試す展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る