マルマエは売り一巡、20年8月期2Q累計予想を上方修正、受注回復傾向

 マルマエ<6264>(東1)は、半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。20年8月期増益予想である。3月19日に第2四半期累計予想を上方修正した。そして20年2月の受注残高は前月比3.4%増、前年同月比29.5%増と回復傾向である。通期ベースでも収益回復を期待したい。また3月6日には自己株式取得を発表している。株価は地合い悪化で昨年来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。なお3月30日に第2四半期決算発表を予定している。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、18年4月出水事業所として稼働、電子ビーム溶接(EBW)関連の生産も開始した。19年2月には本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。

 作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。

 また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。設備投資額は市場動向を見ながら判断するため、出水事業所が稼働した18年8月期の24.5億円をピークとして減少する見込みだ。

■20年8月期増益予想で第2四半期累計予想を上方修正

 20年8月期の業績(非連結)予想(19年12月20日に売上高を下方修正、利益を据え置き)は、売上高が19年8月期比9.0%増の43億80百万円、営業利益が31.2%増の6億50百万円、経常利益が32.7%増の6億33百万円、純利益が0.8%増の4億40百万円としている。配当は19年8月期と同額の15円(第2四半期末10円、期末5円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比19.8%減の9億41百万円で、営業利益が35.0%減の1億47百万円、経常利益が35.8%減の1億44百万円、純利益が35.1%減の98百万円だった。需要減少(半導体分野25.6%減収、FPD分野8.0%増収、その他分野85.6%減収)に加えて、減価償却費の増加や株主総会費用も影響して減収減益だった。全体の受注高は2.4%増の9億56百万円だった。

 3月19日に第2四半期累計予想を上方修正した。修正後の予想は売上高が前年同期比4.2%減の20億18百万円、営業利益が20.9%増の3億64百万円、経常利益が16.4%増の3億41百万円、純利益が24.1%増の2億37百万円とした。売上高がほぼ計画水準となり、利益面では材料費や外注費の少ない受注案件の増加が寄与した。
 
 通期予想は据え置いたが、期初時点で下期偏重の計画であり、下期も受注が回復傾向の見込みとしている。通期ベースでも収益回復を期待したい。

 なお月次受注残高(速報値)を見ると、20年2月は半導体分野が5億11百万円(前月比2.6%増、前年同月比11.6%増)、FPD分野が2億83百万円(前月比3.9%増、前年同月比79.9%増)、その他分野が8百万円、合計8億03百万円(前月比3.4%増、前年同月比29.5%増)となった。合計ベースで前月比、前年同月比とも2ヶ月連続増加した。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして回復傾向である。

 今後の見通しとして、半導体分野はロジック向け、メモリ向けの需要が拡大傾向である。FPD分野は顧客在庫調整の影響で第3四半期に出荷一時停滞だが、第4四半期に回復見込みとしている。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在で、6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカード1000円分を贈呈する。

■株価は売り一巡

 なお3月6日に自己株式取得(上限25万株・2億円、取得期間20年3月9日~20年4月10日)を発表した。

 株価は地合い悪化で昨年来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。3月23日の終値は531円、今期予想PER(会社予想のEPS33円71銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約2.8%、前期実績PBR(前期実績のBPS406円65銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約69億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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