TACは反発の動き、21年3月期収益改善期待

 TAC<4319>(東1)は「資格の学校」を運営し、中期成長に向けて新事業領域への展開も強化している。20年3月期は営業減益予想だが、21年3月期の収益改善を期待したい。なお新型コロナウイルス感染の影響で新宿校・池袋校のサービスを3月9日から一時的に停止していたが、3月14日以降に順次再開している。株価は地合い悪化で昨年来安値を更新したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営、新規事業領域も展開

 財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は、個人教育事業58%、法人研修事業21%、出版事業18%、人材事業3%だった。

 また19年3月期の教育事業の受講者数は1.8%減の21万5569人(個人が3.8%減の13万1119人、法人が1.4%増の8万4450人)だった。分野別構成比は財務・会計分野15.9%、経営・税務分野11.7%、金融・不動産分野25.9%、法律分野5.8%、公務員・労務分野26.6%、情報・国際/医療・福祉/その他分野14.1%だった。

■四半期業績に季節変動要因

 四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。

 また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。

■20年3月期営業減益予想だが21年3月期収益改善期待

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.2%減の204億30百万円、営業利益が6.1%減の3億20百万円、経常利益が21.4%減の3億22百万円、純利益が67.7%減の1億円としている。配当予想は3円減配の5円(第2四半期末2円、期末3円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比0.4%減の154億48百万円、営業利益が2.5%減の5億23百万円、経常利益が3.1%増の6億20百万円、純利益が32.4%減の2億90百万円だった。法人研修事業と出版事業は順調だったが、個人教育事業と人材事業の減収をカバーできず、全体として営業微減益だった。

 個人教育事業が低調で厳しい状況だが、新規事業・講座の開設、コスト構造の抜本的改革、M&A・業務提携の推進に取り組むとしている。21年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化で昨年来安値を更新したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。3月23日の終値は150円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS5円40銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想5円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS296円83銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約28億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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