生化学工業は反発の動き、21年3月期も収益拡大期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期大幅営業・経常増益(純利益は特別損失計上に伴い赤字)予想である。21年3月期も収益拡大を期待したい。4月1日には変形性膝関節症改善剤SI-613について、エーザイと中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結したと発表している。株価は地合い悪化で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお5月12日に20年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel-One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO-3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ-FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 なお20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603、変形性膝関節症改善剤SI-613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI-613-ETP、ドライアイ治療剤SI-614、間質性膀胱炎を適応症とするSI-722、癒着防止材SI-449がある。

 SI-6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では18年2月第3相臨床の追加試験を開始し、22年11月経過観察終了を目指している。

 SI-613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO-5704/SI-613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。SI-613-ETP(小野薬品工業とのSI-613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。

 4月1日には変形性膝関節症改善剤SI-613について、エーザイ<4523>と中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結したと発表している。

 SI-614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI-722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始した。SI-449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想、21年3月期も収益拡大期待

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.7%増の232億40百万円、営業利益が2.4倍の32億65百万円、経常利益が31.0%増の38億68百万円、純利益が97億81百万円の赤字(前年同期は22億53百万円の黒字)だった。

 国内医薬品が前年の販売提携先の在庫調整の影響一巡などで4.9%増収、海外医薬品が米国の販売提携先の拡販施策効果などで23.1%増収と好調だった。利益面は固定資産減損に伴う減価償却費の減少、SI-613国内臨床試験完了による研究開発費の減少で大幅営業増益だった。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。純利益は特別損失に固定資産減損損失を計上したため赤字だった。

 なお第3四半期累計の営業利益は通期予想を大幅超過達成したが、第4四半期に研究開発費が集中する見込みのため、通期予想を据え置いている。21年3月期も収益拡大を期待したい。

■22年3月期経常利益45億円目標

 新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25~30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月2日の終値は1048円、前期推定配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約595億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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