クレスコは反発の動き、21年3月期も収益拡大期待

日インタビュ新聞ロゴ

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。20年3月期増収増益予想である。21年3月期も収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で急落したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお5月8日に20年3月期決算発表を予定している。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 19年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野30%、公共・サービス分野24%、流通・その他分野28%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野7%、情報家電等・その他分野10%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業74%、組込型ソフトウェア開発事業26%、その他0%だった。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。

 なお配当方針は変更し、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。20年3月期中間配当から適用した。

■質的・量的成長目指す

 中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 19年5月にはソフトバンクが運営するAIエコシステムプログラムにおいて、パートナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。19年10月にはクレスコベトナムがオフショア開発の中核として稼働した。19年11月にはアマゾンのAWSパートナー制度で、AWS Well―Architectedパートナープログラム認定を取得した。20年2月には、北海道大学公認のAIベンチャーである調和技研との資本業務提携、およびシステムインテグレーターのエニシアスの子会社化(株式譲渡20年4月1日)を発表した。

■20年3月期増収増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比7.5%増の378億80百万円、営業利益が6.0%増の34億円、経常利益が4.2%増の38億13百万円、純利益が5.7%増の24億16百万円としている。配当予想は20年2月1日付株式2分割遡及換算後で19年3月期比3円増配の年間36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.1%増の289億57百万円、営業利益が14.6%増の26億53百万円、経常利益が18.4%増の31億41百万円、純利益が19.7%増の20億03百万円だった。

 ソフトウェア開発は金融関連が減少したが、公共サービスの増加や流通・その他の子会社における受注拡大などで12.2%増収、14.0%増益だった。組込型ソフトウェア開発はカーエレクトロニクスのインフォティメント系を中心に11.7%増収、13.5%増益と好調に推移した。

 通期も受注が高水準に推移して増収増益予想である。品質管理強化と生産性向上を軸に足固めしつつ、成長に弾みをつける時期と位置付けている。第3四半期累計の進捗率は売上高76.4%、営業利益78.0%と順調である。さらに21年3月期も収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価(20年2月1日付で株式2分割)は地合い悪化で急落したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月6日の終値は1343円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS114円28銭で算出)は約12倍、前期推定配当利回り(会社予想36円で算出)は約2.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS737円54銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約322億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■開発者や投資家に加え、警鐘を鳴らす識者やアーティストも選出、多様な視点でAIの未来を問う  米T…
  2. 【効率化の先に広がる新しい働き方のルール】 ■広がり始めた「AI格差」  生成AIの利用が急速に…
  3. ■R35 GT-R最終生産、累計4万8000台が築いた伝説  日産自動車<7201>(東証プライム…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  2. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  3. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  4. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  5. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  6. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る