【編集長の視点】クレスコは業績上ぶれ着地期待で売られ過ぎ修正買いが再燃し急反発

 クレスコ<4674>(東1)は、前日7日に30円高の1373円と2日連続反発して引け、今年3月19日につけた株式分割の権利落ち後安値1007円からの底上げを再加速させた。同社株は、今年5月8日に3月期決算の発表を予定しているが、目下集計中の前2020年3月期業績が、第3四半期(2019年4月~12月期、3Q)の高利益進捗率業績から上ぶれ着地が期待され、続く2021年3月期業績も、連続過去最高更新が観測されていることを手掛かりに売られ過ぎ修正買いが再燃した。また新型コロナウイルスの感染拡大では、オンライン診療の規制緩和などが検討されているが、これに関連して同社も、AI(人工知能)による機械学習で疾患分類の精度を向上させる手法に米国特許を取得したことなども見直されている。


■前期業績は3Q好決算で上ぶれ着地期待を高め今期も連続最高利益観測

 同社の2020年3月期業績は、売り上げ378億8000万円(前期比7.5%増)、営業利益34億円(同6.0%増)、経常利益38億1300万円(同4.2%増)、純利益24億1600万円(同5.7%増)と予想され、10期連続の増収増益となり過去最高を更新する。ただ今年2月4日に発表した足元の3Q業績は、この通期予想業績に対して高利益進捗率を示した。ソフトウェア開発事業では、公共サービス、流通・その他向け、組込型ソフトウェア開発事業ではカーエレクトロニクス、情報家電向けがそれぞれ前年同期を上回り、昨年10月から新基幹システムの稼働を開始させ生産性をアップさせたことで前年同期比12.1%増収、14.6%営業増益、18.4%経常増益、19.7%純益増益と増益転換して着地したもので、経常利益の通期予想業績対比の進捗率は82.3%、同じく純利益は82.9%と目安の75%を上回った。

 このため2020年3月期業績の上ぶれ期待を高めており、東洋経済会社四季報最新号では営業利益37億円、経常利益41億円、純利益26億円と観測されている。続く2021年3月期業績も同様に39億円、43億円、27億円と観測されている。また配当も2020年3月期は、株式分割(1株を2株に分割、基準日今年1月31日)の権利落ち前で年間72円(権利落ち後36円)に連続増配とするが、続く2021年3月期も、分割権利落ちで36円~38円と増配含みとしている。

 なお医療分野のソフトウェア開発では、疾患分類手法に米国特許が成立したほか、医療画像解析技術が、画像ファイリングソフトウェアに採用され、グローバルに販売されるなど、眼科領域では世界最先端の技術実績を保有している。

■25日線固めからPER11倍台の修正で権利落ち後高値を目指す

 株価は、昨年7月に米国特許が成立したことで3940円高値へ300円高し、また株式分割を歓迎して昨年来高値4080円へ400円超高して、3810円で分割権利を落とした。分割権利落ち後は、3Q好決算に反応して落ち後高値2034円まで買い進まれたが、新型コロナウイルス・ショックに巻き込まれて落ち後安値1007円へ突っ込み、25日移動平均線を大きく下回り、売られ過ぎ修正に相次ぐM&Aを手掛かりに1497円までリバウンド、足元では1200円台の中段固めを続け、2日連続の反発で25日線をほぼクリアした。前期ベースでPERは11倍台、配当利回りは2.62%となお売られ過ぎを示唆しており、25日線固めから分割権利落ち後高値を目指し再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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