トーセの第2四半期は従来予想を大幅に上振れ経常利益など一転黒字に

■継続案件の受注が好調で顧客要望による開発規模の増大も加わる

トーセ<4728>(東1)が4月9日に発表した2020年8月期・第2四半期の連結決算(19年9月~20年2月、累計)は、顧客の要望による開発規模の増大などが加わり、売上高が19年10月に開示した予想を16.0%上回って着地するなど、大幅な上振れ決算となった。

 デジタルエンタテインメント事業では、スマートフォン向けのゲームコンテンツ開発が好調に推移し、その他事業では前期に開発した案件の継続案件の受注が好調に推移。売上高は前年同期比21.9%増の21.82億円となった。

■ロイヤリティ売り上げも好調に推移

 利益面では、一部のプロジェクトで開発規模の増大に対して原価の抑制が図れたことや、開発・運営を担当しているスマホアプリ「うたわれるものロストフラグ」のロイヤリティ売り上げが好調に推移したことなどにより、経常利益は同5.4倍の1.38億円となった。従来予想は0.8億円の赤字としており、大幅な黒字に転換して従来予想を大幅に上回る着地となった。

 親会社株主に帰属する四半期純利益は同73.6倍の0.74億円となり、やはり0.89億円の赤字予想としていた従来予想を大幅に上回った。

■積極的な人材投資やグローバル体制の基盤づくりへの先行投資は続く

 同社では、世界のモバイルゲーム市場が次第に競争激化の度を強める中で、中期経営ビジョンに基づき、積極的な人材投資や、グローバル体制の基盤づくりへの取り組みを開始している。これらにともなう先行投資のため、19年10月に開示した第2四半期累計期間の業績予想は、各利益とも赤字を想定していた。

 だが、開発規模の増大にもかかわらず原価抑制を図ることができ、ロイヤリティ収入の増大にも努めた結果、各利益とも大幅に予想を上回り、黒字転換の着地となった。

■新型コロナウイルスの影響は現時点で出てないが諸々想定し業績予想は据え置く

 通期・20年8月期の業績見通しについては、現時点(4月9日)で新型コロナウイルスの流行拡大による業績への影響はないとした。しかし、今後の状況によっては、開発スケジュールの変更に伴う売り上げ計上時期のずれや対策費用などが発生することも想定されるとし、従来予想を据え置いた。

 8月通期の連結業績予想は、売上高が前期比3.7%減の51.52億円、営業利益が同37.7%減の2.26億円、経常利益が同36.1%減の2.58億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同42.9%減の1.42億円、1株利益は18円83銭。

 ただ、各利益とも第2四半期までの進ちょく率は順調で、営業利益はほぼ50%、経常利益は53%。新型コロナウイルス流行の影響がなければ通期予想を上回る可能性がありそうだ。

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