イワキは反発の動き

 イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から急反落したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社

 医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能を強化し、医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。

 19年11月期の売上構成比は、医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造販売、医薬品の製造販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)が40%、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)が39%、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造販売、表面処理設備の製造販売)が12%、食品事業(食品原料の製造販売)が7%、その他が2%だった。なお動物用医薬品卸売の連結子会社2社(ホクヤク、エイ・エム・アイ)は19年9月譲渡した。

 なお20年11月期からセグメント区分を、ファインケミカル事業(医薬品原料の製造販売)、医薬事業(医薬品の製造販売、医療機器の販売)、HBC・食品事業(化粧品原料の販売、一般用医薬品および関連商品の卸売、化粧品通信販売、機能性食品原料の販売、食品原料の販売)、化学品事業(表面処理薬品の製造販売、プリント配線板等製造プラントの製造販売)とした。

■中長期ビジョンで売上高1000億円以上目指す

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での開発・受託の拡大、自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。

 中期経営計画(ローリング方式、20年11月期~22年11月期)では目標数値に、22年11月期売上高750億円、営業利益32億円、ROIC8.5%を掲げている。また創業111周年(25年11月期)に向けた中長期ビジョンでは、目標として連結売上高1000億円以上、NO.1マーケットシェア、ROIC10%以上を掲げている。配当方針は、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で連結配当性向30%目途」としている。

 20年1月医療用後発医薬品・一般用医薬品開発の前田薬品工業に資本参加、20年3月医薬品CMC研究・製造受託のスペラファーマを子会社化した。また20年7月1日付で子会社の岩城製薬が、鳥居薬品の佐倉工場を継承する新会社の全株式を取得予定である。岩城製薬の医療用医薬品の製造能力を増強する。

■20年11月期増収増益・4期連続増配予想

 20年11月期連結業績予想は、売上高が19年11月期比3.8%増の640億円、営業利益が3.7%増の22億円、経常利益が3.5%増の24億円、純利益が10.9%増の17億円である。配当予想は1円増配の14円(第2四半期末7円、期末7円)である。4期連続増配となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比1.2%減の145億71百万円、営業利益が45.1%減の2億77百万円、経常利益が45.8%減の2億95百万円、純利益が43.7%減の1億96百万円だった。

 ファインケミカル事業は医薬品原料が堅調で7.3%増収だが、電子・機能性材料の需要減速で26.2%減益だった。医薬事業は医療用医薬品が堅調で9.9%増収だが、人事制度改革による固定費の増加で3.4%減益だった。HBC・食品事業はインバウンド需要の減少で3.5%減収となり、赤字が拡大した。化学品事業は表面処理薬品の韓国および欧州向けが堅調で3.9%増収だが、国内UBM市場が低調で32.8%減益だった。

 当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年11月末時点で1年以上保有株主対象

 株主優待制度は毎年11月末時点で100株(1単元)以上を継続して1年以上保有する株主を対象として、グループ化粧品詰め合わせセットなどを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 株価は戻り高値圏から急反落したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。5月15日の終値は442円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円95銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS624円09銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約154億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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