ゼリア新薬工業は20年3月期決算と自社株買いを発表

■海外市場では「ASACOL 1600㎎」の寄与もあり、イギリス、北欧などの国々で好調に推移

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は21日引け後、20年3月期決算と自社株買いを発表した。

 20年3月期連結業績は、売上高604億26百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益40億94百万円(同9.6%増)、経常利益38億79百万円(同17.7%増)、純利益29億25百万円(同15.3%減)となった。最終利益が減益となったのは、前年同期に特別利益19億84百万円が計上された影響による。

 医療用医薬品事業は、主力製品である潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」については、国内市場で売上が減少したが、海外市場では「ASACOL 1600㎎」の寄与もあり、イギリス、北欧などの国々で好調に推移し、国内市場の減少をカバーし、「アサコール」全体では増収となった。一方、炎症性腸疾患治療剤「Entocort」(国内販売名:「ゼンタコート」)は、国内は順調に売上が伸長したが、海外の一部の地域における在庫調整などの影響により、全体では苦戦した。なお、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は、内視鏡実施医療機関を中心に潜在的な機能性ディスペプシア患者の掘り起こしに努め、進展を図っている。これらの結果、売上高は、317億68百万円(同0.2%減)となった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、主力製品群である「コンドロイチン群」については、15年度以降売上が年々減少してきたが、コンドロイチンの認知度向上を目指し、OTC医薬品で唯一、コンドロイチンを1560㎎配合した“医薬 品”であることを明確に訴求したテレビCMや新聞広告、店頭プロモーションを継続して展開し、健康食品との差別化を図った結果、前年度を上回った。また、植物性便秘薬「ウィズワン群」も、便秘薬市場が伸び悩む中、売上は堅調に推移した。一方、「ヘパリーゼ群」は、「ヘパリーゼプラスⅡ」などの医薬品カテゴリーの錠剤は堅調に推移したものの、コンビニエンスストア市場での他社ドリンク剤との競合激化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう外出自粛などにより、ヘパリーゼ W群の第4四半期の売上が大幅に減少し、全体では売上は減収に転じた。なお、20年3月に「ヘパリーゼ W炭酸」を発売し、製品ラインアップを強化した。これらの結果、売上高は、285億2百万円(同4.5%減)となった。

 なお、海外売上高比率は31.0%(前年同期28.5%)と海外での売上比率が高まっている。

 今期21年3月期業績予想については、現時点において、収束時期をはじめとして、新型コロナ ウイルス感染症による影響を合理的に算定することが困難なことから未定とした。

 同日、取得株式総数80万株(上限)、取得価額総額17億60百万円(上限)とする自社株買いも発表した。取得期間は、5月22日から11月5日までの約5か月半としている。

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