【どう見るこの相場】「金曜日の引けピン」でJQ市場の時価総額上位株は東証マザーズ株追撃の狼煙

どう見るこの相場

 「金曜日の後場安」である。前週末22日の金曜日に、日経平均株価は、後場に下げ幅を拡大しこの日のほぼ安値圏で引け続落した。こうした日中のボラティリティ(変動性)は、もう気にする投資家も少なくなったようだが、相場センチメントを占うアノマリーとされてきた。週末を控えて買いポジションを解消する市場参加者が多数派にのぼり、翌週の週明けはジャンプダウンしてスタートする弱気シグナルとして嫌われたのである。

 まして前週末22日は、週明け25日の米国市場が、メモリアルデーの休場となり3連休となる。東京市場は、新型コロナウイルス感染症関連でも、欧米のワクチン・治療薬開発動向に一喜一憂し、米中摩擦激化を懸念して上値を抑えられ、独自材料で動くこともないから、いっそう見送り気分が強まり、東証第1部の売買代金は、1兆9334億円と2日連続で2兆円を割る薄商いとなってしまった。

 では「金曜日の後場高」、いわゆる「引けピン」はどうか?アノマリーでは、「後場安」とは正反対に週明けのジャンプアップを予兆する強気シグナルとされてきた。前週末22日は、日経平均株価や東証2部株価指数、東証マザーズ指数が揃って続落、反落するなか、唯一、日経ジャスダック平均だけがプラスとなった。とくに同じ新興市場のマザーズ市場と比べると、マザーズ指数が6営業日ぶりに反落したのに対して、日経ジャスダック平均は、ほぼ高値圏で引け6営業日続伸となった。

同じ新興市場では、ジャスダック(JQ)市場は東証マザーズ(東マ)市場に対して割りを食ってきた。マザーズ指数が、今年3月に突っ込んだ年初来安値から78%高し、すでに年初来高値を更新しているのに比べて、ジャスダック平均は、安値からの上昇率は22%にとどまり、年初来高値からの調整幅の半値戻し水準にとどまっている。新型コロナウイルス感染症の影響である。東マ市場では、ワクチン開発のアンジェス<4563>(東マ)などのバイオ株やIT関連株に個人マネーが集中し、軒並み高となったからだ。なかでもアンジェスは、前週末22日の売買代金は654億円に達し、東証1部市場トップのソフトバンクグループ<9984>(東1)、第2位のソフトバンク<9434>(東1)に割り込んで、全市場ベースで第3位となった。

 そこで今週の当コラムでは、同じ新興市場でも割り負け感のある「金曜日の引けピン」のJQ市場株に注目することとした。JQ株は、もともと内需系のウエートが高く、今回の決算発表でも今期業績を未定とする上場企業が、全体の6割も占めているといわれるなかで、しっかり業績ガイダンスを開示した銘柄も多い。「引けピン」は、東マ銘柄追撃への狼煙とも読み取れる。狙いは、東マ市場のアンジェスと同様に時価総額ランキングの上位にランキングされる銘柄である。割安株、勝ち組銘柄などに週明けのジャンプアップを期待したい。

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