トーセは戻り歩調

 トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。20年8月期減益予想だが第2四半期累計は計画超だった。新型コロナウイルスによる業績への直接的な影響は限定的だろう。通期ベースでも収益拡大を期待したい。なお5月28日には、京都市の助成制度「京都市文化芸術活動緊急奨励金」に対する寄付(20百万円)を発表している。株価は3月の安値圏から水準を切り上げている。戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手

 家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームソフト関連、モバイルコンテンツ関連、パチンコ・パチスロ関連などデジタルコンテンツの企画・開発・運営の受託)、その他事業(SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、コンサート事業やクレーンゲーム事業など新規事業創出)を展開している。

 収益は開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上である。大型案件の開発受託の有無や、開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。またプロジェクトの大型化に伴って開発期間が長期化する傾向を強めている。

 複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力、開発売上とストック型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴としている。

■20年8月期減益予想だが2Q累計は計画超

 20年8月期の連結業績予想は、売上高が19年8月期比3.7%減の51億52百万円、営業利益が37.7%減の2億26百万円、経常利益が36.1%減の2億58百万円、純利益が42.9%減の1億42百万円としている。配当予想は19年8月期と同額の25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比21.9%増の21億82百万円、営業利益が1億12百万円の黒字(前年同期は4百万円の赤字)、経常利益が1億38百万円の黒字(同25百万円の黒字)、純利益が74百万円の黒字(同1百万円の黒字)だった。

 計画超で営業黒字化した。デジタルエンタテインメント事業において、ゲームソフト関連運営売上が減少したが、顧客要望による開発規模増大案件が発生してスマホ向け開発売上が伸長した。開発効率化による原価抑制、スマホアプリのロイヤリティ売上の好調推移、その他事業の黒字化も寄与した。

 通期予想は据え置いた。第2四半期累計は計画超だったが不確定要素が多いため、開発スケジュール変更による売上計上の期ズレ、従業員の体調確認やテレワーク採用など新型コロナウイルス対策費用の発生を保守的に勘案した。

 ただし新型コロナウイルスによる業績への直接的な影響は限定的だろう。通期ベースではスマホ向けコンテンツを中心に、合計9本の開発完了(下期開発完了予定の大型タイトルを含む)を予定している。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は3月の安値圏から水準を切り上げている。戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月28日の終値は861円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円83銭で算出)は約46倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS780円70銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約67億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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